植民地における科学技術関連機関やそこでの科学技術者の活動の歴史的検討
Project/Area Number |
01J08148
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
科学技術史(含科学社会学・科学技術基礎理論)
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
山口 直樹 東北大学, 大学院・経済学研究科・日本学術振興会特別研究員 DC2
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 満鉄中央試験所 / 丸沢常哉 / 残留技術者 |
Research Abstract |
平成14年度は、満鉄中央試験所がどのように中国側に受けつがれていったのかを中心に研究をすすめた。その研究実績の概要を以下に示す。まず、満鉄中央試験所という研究機関の場合、敗戦時における対応は731部隊の医学者たちとは、対極的なものだったということが明らかになった。このような対応を可能にしたのは、当時の満鉄中央試験所所長だった丸沢常哉氏によるところが大きい。丸沢氏は、東京帝国大学工学部応用化学科を卒業した後、九州大学教授や大阪大学教授、旅順工科大学教授などを歴任した後満鉄に副総裁待遇で紹かれた科学者であった。研究成果を廃棄すべしという社命に抗して丸沢は研究成果は人類共通の財産であるという考えに従い、研究業績をロシアや中国にひきわたすことを、決断した。満鉄中央試験所の接収にあたっては、この丸沢の考えにしたがって研究所員たちも行動した。この時、残留した日本人技術者の研究テーマとは、鞍山製鉄所における珪石煉瓦、オイルシェールの水添加ガソリン写真用ゼラチン、研究業績に関する文献の整理、フィッシャー法触媒、頁岩油軽油の水添によるガソリンの製造などであった。またこの時、日本人技術者は中国人青年を教育したが、その中には、後に大連化学物理研究所にも関係する技術者に育った。 満鉄中央試験所のスタッフのなかには「内地」とはちがって油脂関係の専門家がたくさんいたということも明らかになった。こうした植民地「満州」での科学技術者たちの活動を考えるとき、われわれは、植民地近代化論をどうとらえるべきなのかという問題にぶつかることになるだろう。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)