Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、両生類下垂体ホルモンの中で、唯一実用に供するほどの量および純化の程度で得られていないホルモンである。そのためTSHの微量測定法が確立されておらず、放出を制御する視床下部因子の正体も明らかにされていなかった。前年度までに、筆者はウシガエルTSHβ合成ペプチドに対する抗体を用いて、ウシガエルTSHの放射免疫測定(RIA)法による測定系を確立した。本年度はこの測定系を用いて、ウシガエル下垂体細胞培養液中に放出されるTSH量を指標とし、下垂体細胞からのTSH放出におよぼす視床下部因子および甲状腺ホルモンの効果を調べた。ウシガエル視床下部酸抽出物を下垂体細胞に加えると、TSH放出が促進された。視床下部抽出物と同時に副腎皮質ホルモン放出ホルモン(CRH)の拮抗剤であるα-helical CRHを加えると、CRHによるTSH放出の度合いが減少することが確かめられた。このことから、視床下部に含まれるTSH放出因子(群)による活性は、CRH由来のものが含まれることが示された。また、下垂体細胞に甲状腺ホルモン(T_3、T_4)を加えで、TSH放出におよぼす影響を調べた。TSHの基礎分泌にはT_3およびT_4は効果を示さなかったが、CRHを加えてTSH放出を高めた上でT_3、T_4を加えたところ、CRHによって引き起こされるTSH放出が抑制された。次の段階として、培養細胞からのTSH放出量を指標として、各種カラムを用いて視床下部に含まれるTSH細胞刺激因子の単離・同定を進める計画である。
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