バクテリオファージによる養殖アユの細菌性出血性腹水病の防除
Project/Area Number |
01J08924
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
朴 世昌 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 細菌性出血性腹水病 / バクテリオファージ / アユ / ファージ療法 |
Research Abstract |
魚の細菌感染症の治療・予防としては抗生物質の投与が主流であるが,薬剤耐性菌の出現が非常に大きな問題となっており,養殖現場では時には水産薬として認可されていない薬剤も使用されている。アユ養殖場において,Pseudomonas plecoglossicidaを原因菌とする新しい細菌感染症(細菌性出血性腹水病)が蔓延しており,本原因菌は従来の水産薬に全く感受性を有さず,またアユに対する病原性が非常に強いことから,その防除対策の確立が急務となっている。 本研究は、養殖環境から分離したP. plecoglossicidaを特異的に溶菌するバクテリオファージを用いて本病の防除法を確立することを目的とする。平成14年度に得られた成果は以下のように要約される。 1)室内試験としてP. plecoglossicidaを経口感染させたアユに、ファージを含む餌を経口投与した結果、特に2種類のファージを混合して投与した区において優れた治療成績が得られた。また、自然感染を想定して行った病魚排出菌による感染試験においても同様の治療成績が得られた。 2)続いてP. plecoglossicidaの自然感染が起こっている実際の養殖池(約12万尾収容)を使用して、2種類のファージ混合餌による野外治療試験を行ったところ、ファージ投与開始後速やかに死亡魚数が減少しはじめ、2週間後の死亡魚数はファージ投与前の約1/3となり、顕著な治療効果が認められた。その際、ファージ療法の問題点として指摘されているファージ耐性株の出現は認められず、またファージを投与したアユからファージに対する中和抗体が検出されなかったことから、本病に対するファージ療法は実用性のある有効な防除対策となりうることが明らかとなった。本研究は、魚類の細菌感染症に対するファージ療法の有効性を世界で初めて示したものである。 これらの調査・研究は、徳島県下のアユ養魚場および徳島県水産試験場において数回にわたって行った(1回の滞在日数は2週間程度)。得られた成果の一部を近畿大学(奈良市)で開催された日本水産学会(14年4月),韓国で開催された韓国水産学会(14年5月),および高知大学で開催された日本魚病学会(14年9月)で発表するとともに、国際誌に2編、国内誌に1編の論文として報告した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)