有機室温溶融塩を基本要素とするイオン伝導性マトリックスの合成
Project/Area Number |
01J09170
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
高分子合成
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
吉沢 正博 東京農工大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 室温溶融塩 / イオン性液体 / イオン伝導度 / ガラス転移温度 / 高分子固体電解質 / ポリマーゲル電解質 |
Research Abstract |
本年度においては、有機室温溶融塩(イオン性液体とも呼ばれる)の高分子化を中心に展開し、特定イオンを高速伝導できるマトリクスの構築について進めた。 まず、高分子化した溶融塩中で高いイオン伝導特性を得るために必要な因子について知見を得るため、結合様式の異なる系を2種類合成した。溶融塩を構成するカチオンとアニオンの両方に重合基を導入したコポリマー系とモノマーユニットにカチオンとアニオンの両方を有するZwitterionicポリマー系である。これらは溶媒である溶融塩自身は高分子鎖に固定されているため、それら自身の長距離移動は禁止されており、後から添加した目的イオンに対して速やかに伝導パスを供給する特徴を有する。事実、高分子自身のバルクイオン伝導度はいずれの系も10^<-9>S cm^<-1>以下で、長距離伝導するキャリアイオンが存在しないことを確認した。これらにLi塩を添加すると室温で10^<-5>S cm^<-1>程度のイオン伝導度を示した。これらは高分子固体電解質として盛んに研究されているポリエーテル系に匹敵する値である。これまでの検討から、溶融塩高分子において高いイオン伝導度を得るためには、溶融塩を構成するカチオンの高い自由度を保つことが重要であることを確認しており、これらの系においても、重合基とカチオンの間にスペーサー分子を導入した。その結果、塩添加後のイオン伝導度をさらに改善することに成功した。また、イオン伝導度に及ぼす塩濃度依存症を検討したところ、モノマーユニットに対して、過剰量の塩を添加してもイオン伝導度は一定の値を示し、ポリエーテル系とは全く異なる挙動を示した。これらの結果から、溶融塩を高分子鎖に適切に固定することで、目的イオンに対する高速伝導パスを有するマトリクスを構築することができた。 また、昨年度作成した低分子Zwiiterionic塩を汎用高分子に含浸させたゲル型高分子固体電解質の作成も行った。Zwiiterionic塩は従来の溶融塩と同様に不揮発性溶媒として用いることが可能であり、広い温度範囲で高いイオン伝導度を保持できることが特徴である。また、それ自身は電位勾配に沿って移動しない特徴も併せ持つ。作成されたゲル型電解質の耐熱性は用いた高分子に依存し、400℃まで分解せず、安定なイオン伝導度を得ることに成功した。イオン伝導度はZwiiterionic塩の含量増加に伴い増加した。これらのLi輸率を測定したところ、0.5を超える値が得られ、Zwiiterionic塩の特徴を損なわずに高分子化できることがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
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