1900年前後のイギリス小説における社会ダーウィン主義と帝国主義の文化
Project/Area Number |
01J09481
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
英語・英米文学
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木下 誠 筑波大学, 文芸・言語学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | イギリス小説 / 優生学 / 社会ダーウィン主義 / 帝国主義 / 文化研究 |
Research Abstract |
平成14年度の研究は、D.H.ロレンスの小説と詩を帝国主義の文化のテクストとして歴史的に読解することに焦点を当てた。 1.ロレンスが1922年にイギリス領のセイロン島で執筆した詩「象」には、植民地支配を批判するような描写がある。ところが、この詩が最初に掲載された雑誌『イングリッシュリヴュー』は、イギリスの帝国主義政策を断固支持するとの政治スタンスを表明していた。このようなテクストとそのコンテクストとのあいだのイデオロギー的ギャップはどのように解消されているのか。この問いに答えるために、本研究は詩と掲載雑誌の両方に共通する近代ツーリズムの帝国主義的な欲望に注目した。ロレンスは一見反帝国主義的な詩を書きながらも、そこにイギリス領を観光することの帝国主義的な魅力を盛り込むことによって、雑誌の政治的スタンスに即しても読まれうるような詩の構成をしている。つまり、「象」はイギリス領で生産され、宗主国で消費される帝国主義の商品のひとつであった。 2.ロレンスの小説『恋する女たち』(1920年)には、ふたりの男が裸で「日本のレスリング」の「柔術」を始める場面がある。従来の研究では、そもそも「柔術」はいかなる運動とされていたのか、つまりイギリスのモダニズム小説に描かれた「日本のレスリング」をめぐる文化的脈略については十分な光が当てられていなかった。そこで本研究は、イギリス人がドイツで日本人から「柔術」を学ぶという小説の設定から垣間見える20世紀初頭の「身体文化」の言説空間を明らかにし、「柔術」は社会ダーウィン主義の実践としての優生学が問題視していた「人種退化」克服のための運動として捉えられていたこと、そこに身体強化のブームと同性愛的欲望の結びつきが確認されることを論究した。(730字)
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Report
(1 results)
Research Products
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