Project/Area Number |
01J09578
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊川 水際 筑波大学, 歴史・人類学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 北ケニア / 東アフリカ / 遊牧民 / レンディーレ / 生業 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究は、北ケニアの遊牧民レンディーレ社会における生業の多角化とジェンダーの変容過程を明らかにすることを目的としている。レンディーレは半砂漠地帯に広がる牧野で、ラクダと小家畜、ならびに少数のウシとロバに依存した生業を営む遊牧民族である。しかし、1970年代以降、政府や援助団体の開発政策によって、町場を中心に遊牧民にも農業技術が導入されたり、賃労の機会が与えられたりした。その結果、新たな生業活動を求めて牧村から町場に移動する人々が出現しはじめた。 本研究では、(1)調査地であるフラフラ開拓村(マルサビット県)における生業の多角化の状況、居住形態、年中行事、人生儀礼、役割分担、年齢体系や婚姻といった社会制度に着目し、専業牧畜を行う集落と比較することで社会経済的変化を探り、(2)開拓村でミルク販売を行う女性たちに焦点をあて、世帯構成、夫の経済活動、婚姻形態、移住のいきさつなどを背景に、町場近郊における女性の新たな役割とその変化を分析し、(3)近代化など外的な変化に対応する個々人の生きざまの社会経済的意味を探り、それを単に個人的領域にとどめるのではなく、牧畜社会の再編成として捉えなおすことによって、社会構造の動態とその維持機構を明らかにし、(4)個々人によるライフヒストリーを通して、男女それぞれに与えられた役割や性規範からの逸脱行為を描きつつ、そのような個々人の行為が町場近郊の開拓村におけるレンディーレ社会の再編成にどのように位置付けられようとしているのかを長期調査での収集資料をもとに実証した。以上の内容は、学会誌への投稿論文や学会発表などにまとめた。 第39回アフリカ学会では、生計が多角化したフラフラ村で一夫多妻婚が顕著に見られる現状をとりあげ、厳格な長子相続によって家畜へのアクセスが少ない一夫多妻婚世帯の妻とその子供たちが、現金獲得の機会に恵まれた町場近郊に移住している状況を示した。そこでは、夫婦別計のあり方に着目し、一夫多妻婚の世帯主と妻たちの生計活動、及び、居住形態などの資料提示と分析を行った。その結果、フラフラ村の一夫多妻婚世帯には、夫の死後、牧村から移住してきた母子世帯が多いこと、又、別の妻が他の集落に居住している分散居住型が多く、その場合でも、夫が死亡していて不在であるような母子世帯が多数を占めていることを明らかにした。
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