Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度は、変異型MCP-1(7ND)遺伝子導入によりサルの腸骨動脈へのステント留置後の再狭窄が抑制されること、サルにおいて7ND遺伝子導入による重篤な副作用を認めないこと、高コレステロール負荷ウサギにおいてEgr-1デコイ導入により頚動脈傷害の再狭窄か抑制されることを報告した。平成15年度の研究の進行状況を以下に述べる。1.霊長類(カニクイザル)において6ヶ月間の高コレステロール食負荷とバルーン傷害(高コレステロール食開始1ヶ月目に実施)により動脈硬化病変を作製し、7ND遺伝子導入により動脈硬化病変(内膜肥厚)が減少することを示した。また、新生内膜におけるマクロファージ浸潤、脂質沈着が有意に抑制され、7ND遺伝子導入により動脈硬化病変がより安定化することを示した。これらの成績から、抗MCP-1療法がヒト動脈硬化性疾患に対する新たな治療となりうることが示唆された(北本他、論文投稿中)。2.高コレステロール食負荷ウサギの頚動脈およびサルの腸骨動脈のステント留置モデルにおいて7ND遺伝子導入によりステント留置後再狭窄が抑制されたことから(大谷他、論文投稿中)、7ND遺伝子溶出型ステントを作製し、放出試験、発現実験を開始した。3.ヒトの冠動脈インターベンション後再狭窄に対する7ND遺伝子治療の臨床試験の開始を目指した基礎実験を引き続き行い、サルおよびマウスにおいて7ND遺伝子導入後に抗MCP-1自己抗体、抗7ND抗体産生が生じないことなどを示した(厚生労働省審査委員会で審議継続中)。4.高コレステロール食負荷ウサギの頚動脈へのステント留置後再狭窄モデルにおいて、NF-κBコーティングステントが再狭窄を有意に抑制することを示した(大谷他、第68回日本循環器学会発表予定)。サルの腸骨動脈へのステント留置モデルにおいても現在検討を行っている。5.ヒトの冠動脈インターベンション後再狭窄に対するNF-κBデコイ治療(チャンネルバルーンによる導入)の臨床試験(大阪大学医学部との共同研究、平成16年3月末現在11例に施行)を引き続き行い、冠動脈インターベンション後の血中サイトカイン(MCP-1、IL-8、TNF-α)の増加が抑制されることを確認した。今後も、臨床試験を継続しその有効性についての検討を行う予定である。
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