シミュレーション・モデルを用いた金融・為替市場における期待形成
Project/Area Number |
01J10498
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
経済理論
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉地 望 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | コンピュータ・シミュレーション / 複雑系 / 金融脆弱性 / 景気循環論 / 期待形成 / 金融市場 / 外国為替市場 / シミュレーション / マルチ・エージェント |
Research Abstract |
昨年度の実績報告と重複する部分があるが,イタリア国立・アンコナ大学教授のMauro Gallegati氏の下で,2002年度に共同論文を執筆した。その報告論文が本年度Advanced in Complex System, Vol.6,No.3(2003)267-282.に掲載された。「Complex Dynamics and financial fragility in an agent based model」は異質な経済主体が相互作用する金融市場を形成し,経済主体の行動がバランス・シート・メカニズムを通じてどのように変化していくかをコンピュータ・シミュレートした論文である。シミュレーションの結果は,分析対象とした現実を非常によく説明している。マクロレベルでは不況期に財務流動性比率が最も高くなることなどが示された。一方,ミクロレベルでは,企業規模は左に偏った分布になること(大企業数の比率は小さい)や,企業の成長率は現実に観察されるラプラス分布に近くなることが示された。本モデルは外生的な変動要因として微細なランダムな相対価格変動(言い換えれば微細な需要変動)のみを与えているが,その結果としてマクロレベルにおいては微細な需要変動を集計した変動よりも大きなマクロレベルでの変動を引き起こす。この結論は,経済理論的にも大きな意義を持つ。つまり景気変動の理由を新古典派成長理論のように外生的に大きなショックに求めなくとも,経済主体の異質性を導入することによって景気変動が説明可能となるからである。本論文の主題は,金融市場における期待形成の問題と同型といえる。つまり期待形成の本質は異質性にあり,その異質性がマクロレベルでの複雑な変動を引き起こすからである。従って,この論文は,金融市場ににおける経済主体の期待形成を分析するための基礎的な研究と位置付けることが出来る。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)