Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度までの脳下垂体除去雌ウナギの催熟実験によって、通常のウナギ人為催熟には、ウナギ自身の脳下垂体は必ずしも必要ではないことがあきらかとなった。本年度は、主要なステロイド合成酵素の抗体を作製し、タンパクレベルでの発現制御の解明、および未だ単離されていないステロイド合成酵素の単離を目指した。1)20β-HSD遺伝子の単離:他魚種で20β-HSDとして単離されているカルボニル還元化酵素はウナギでは20β-HSD活性を持たなかったことから他のタイプが存在すると仮定して、機能発現クローニングを試みたが20β-HSD活性を持つ遺伝子を単離するには至らなかった。2)P450c11の免疫組織化学的局在:ウナギP450c11組替タンパクに対する特異抗体を作製し、ウナギ組織を免疫染色した結果、頭腎のステロイド合成細胞および精巣のライディッヒ細胞が良好に染色されたが、卵巣に陽性細胞は観察されなかった。この時期卵巣のP450c11 RNAの発現は高い為、矛盾する結果となった。3)P450scc、P450c17、P450c11のmRNAの局在:卵巣ではscc、c17ともにmRNAはタンパクと同時期、同部位に発現していた。精巣では催熟開始直後に発現が高まるも、以降ほとんど発現は認められず、scc、c17ともタンパクが一貫して発現している様子とは異なった。精巣のc11に関しては催熟開始9日目にmRNA、タンパクともにほぼ同時期に発現していた。以上、これまでにニホンウナギのFSH、サケFSH、P450scc、P450c17、P450arom、P450c11の特異抗体を作製し、免疫組織化学的観察を行った。これまでの結果、ウナギ雌の人為催熟にはウナギ自身の脳下垂体は必ずしも必要でなく、つまり様々なステロイド合成酵素は注射されるサケ下垂体によって発現が促進されている者と考えられた。そのステロイド合成酵素の発現制御も各々異なるとが示唆された。
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