Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
寒冷海洋圏におけるメソスケール大気-海洋相互作用について,地球上で最も低緯度に位置する代表的な季節海氷域のオホーツク海を対象領域とし、寒気吹き出しによる大気-海洋間の熱交換(気団変質)を調べた.前年度の解析結果を元に、北極海と日本海を比較対象として航空機による乱流観測データを用い大気境界層内の熱輸送過程とそれに伴う雲システムの役割を明らかにすることを目的とした. 1.寒気吹き出し時に日本海で行われた航空機観測 乱流熱フラックス(<ω'θ'_v>^^^-) を構成する各成分の鉛直・水平分布を4つの領域に分割し,各成分の面積比・寄与率を抽出することのできるJoint Frequency Distribution(JFD)法を用いて解析を行なった.その結果、寒気吹き出し時における雲を伴う大気境界層内の乱流熱輸送は,境界層下部でのサーマルによる効率的な熱輸送(全領域の30%)と雲頂からの冷却の効果(海面熱フラックスの15%)によって引き起こされていることが分かった. 2.オホーツク海氷域の開放水面での乱流熱フラックス 日本海の観測結果に適用したJFD法をオホーツク海の観測結果にも適用し,気団変質に対する海氷の影響を調べた.風上での開放水面起源の顕熱フラックス(サーマル成分)の水平分布を見ると,個々の開放水面の幅に関係なく風上に位置するものから順に冷却され,その効果は5kmの開放水面に相当する範囲で急激に減衰することが分かった.さらに,雪雲を伴う大気境界層の発達にも個々の開放水面の幅ではなく,その積算値に依存していることが明らかとなった.その水平スケールは30〜40kmで,日本海に発達する雪雲の離岸距離に相当していた.熱輸送はサーマルとその補償流によって効率的に行なわれていた. 3.北極域の海氷上に形成される雲システムの発達・維持過程 北極層雲と海氷との相互作用に着目したSurface Heat Budget of Arctic Ocean (SHEBA)による観測データとLarge Eddy Simulation (LES)を用い,北極層雲形成のトリガーとその環境場との関係を調べた.解析の結果、乱流運動エネルギー(TKE)生成は境界層の下層250m以下でシア生成が支配的であることが分かり,これが北極層雲の維持に大きな影響力を持つことが示された.
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