RETチロシンキナーゼを介した細胞内シグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
01J82504
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒川 景 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | RETチロシンキナーゼ / RETアイソフォーム / SHC / SNT / FRS2 / PTBドメイン / ラフト / 多発性内分泌腫瘍症2型 |
Research Abstract |
RETプロトオンコジーンは神経の発生分化、腎臓の形成、遺伝性腫瘍疾患である多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A、2B型、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、遺伝性の腸管神経変性疾患であるHirschsprung病に関与することが知られている。RETの持つこれらの幅広い生理的機能および疾患の発生メカニズムを明らかにするため、RETチロシンキナーゼの関与する、複数のアダプター蛋白を介した細胞内シグナル伝達系の解析を進めた。 (1)過去に報告された、アダプター蛋白SHCのPTBドメインと神経栄養因子NGFのレセプターであるTRKAとの結合を示す立体構造をもとに、SHCのPTBドメインとRETのチロシン1062周囲のコンセンサス配列との結合について立体構造をシミュレーションした。この結果、RETの3'側のスプライシングによって生じるshort、middle、longの3っのアイソフォームのうち、short typeとの結合が、TRKAとの結合様式とエネルギー的に最も近いことが示唆された。また、long typeも、過去の研究結果が示すとおり、十分な結合性を示すことが示された。一方、middle typeの結合性は、立体構造の上からも、不安定であることが明らかとなった。 (2)RETを発現する神経系細胞株では、リガンドであるGDNF刺激によって、RETはラフトに移動し、ラフトに存在するアダプター蛋白SNT/FRS2をチロシンリン酸化する。一方、MEN 2A型変異RETを発現する甲状腺髄様癌の細胞株では、RETはラフトに移動せず、SNT/FRS2のチロシンリン酸化は認められなかった。以上より、RETの生理的なシグナル伝達系と、MEN 2A型で発症する腫瘍とのシグナル伝達との違いに、ラフトを介したSNT/FRS2の活性化の有無が関与している可能性が示唆された。 (3)RETを発現する細胞株に、レトロウイルスによってSNT/FRS2と、そのシグナル伝達に関与するC末側の欠損体を導入した。その結果、C末側の欠損体を導入した細胞株では、MAPKの活性化が低下していることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)