Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
塑性変形下の純粋せん断状態における材料に生ずる微視組織構造変化,特に点欠陥の発生は物質を伝搬する超音波縦波の音速と密接な関係にあることが明らかになった。さらに,純粋せん断状態における縦波の音速変化に起因する幾つかの現象を解明するために,試験片状態を試験片表面の鏡面仕上げを行った場合と試験片表面の鏡面仕上げを行わなかった場合について二軸引張・圧縮試験を行った結果は,試験片の鏡面仕上げを行うと,ひずみ増加に従って音速変化が単純に減少する傾向にあり,試験片の鏡面仕上げを行わないと速度変化は様々な傾向にあることがわかった。したがって,純粋せん断状態において点欠陥発生に密接に関係する交差すべり量を表面あれと結晶方位の視点から有限要素多結晶モデル(Finite Element Polycrystal Model:FEPM)を用いて解析することにより,超音波縦波の音速変化に及ぼす幾つかの要因を考察した。また,塑性変形下の縦波の伝搬速度が点欠陥に強く依存するかどうかの検証は,単結晶材料の純粋せん断状態における縦波の伝搬速度に関する実験を二軸引張・圧縮試験機より行なった。得られた結果は次のようになった。 (1)試験片表面の鏡面仕上げの有無による超音波縦波の伝搬速度への影響に関して,表面粗さによる幾何学的形状の与える影響については本質的ではないことを明らかにした。すなわち,多結晶体の結晶方位分布を同一にし,表面形状が滑らかな場合と荒れている場合の交差すべり量はFEPMのシミュレーション結果では巨視的にはほとんど相違が見られなかった。 (2)交差すべり量は表面層の結晶方位に依存することがFEPMの解析によりわかった。したがって,試験片表面の鏡面仕上げを行なわなかった場合,機械加工によって試験片表面層に生じる結晶方位は塑性変化下の材料中に生じた交差すべり量に大きな影響を与え,様々な傾向である縦波の音速変化の実験結果に反映された。また,試験片表面の鏡面仕上げを行なった場合,鏡面仕上げによる機械加工層がなくなるとともに表面層の結晶方位が均一化され,それが交差すべり量に与える影響は,試験片表面の研磨前後の超音波縦波の音速変化の実験結果からわかった。 (3)アルミニウム単結晶材料の純粋せん断状態における縦波の伝搬速度に関する実験から塑性変形下の縦波の伝搬速度が点欠陥に強く依存することが検証できた。
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