Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
初年度に行った設計ならびにプロセス要素技術をもとに,高周波集積化インダクタを試作した.プロセス上,絶縁層の表面を緩やかに傾斜させるテーパエッチングが不可欠となり,そのプロセスを開発した.これは,レジストのポストベーク温度を所定の温度より上昇させることによってまずレジストのエッジにテーパを付与し,さらにこのレジストを用いてSiO_2層をイオンミリングすることによって,SiO_2層のエッジにテーパを形成するものである.テーパ角度30〜45°,2箇所のテーパに挟まれた開口部の幅が1.2〜42μmという,インダクタの試作上充分なプロセス条件を明確にできた. 以上の準備をもとに,試作の練習を兼ねて,コプレーナ線路の試作と,この線路上に絶縁膜を介して磁性薄膜を積層するような簡単な素子の試作を行った.これは順調に成功し,研究発表の冒頭に記した文献として発表も行った. 次に本格的なインダクタを試作した.基板は200μm厚高抵抗Siとし,コイルからの漏れ磁束によって基板中で渦電流が生じる量を低減するため,1.4μmの酸化層を設けた.次にCoNbZr薄膜をRFスパッタ法により製膜し,イオンミリングによって所定のマイクロパターニングを行った.磁性層の上下には密着層として50nmのTi層を設けた.次に絶縁層としてSiO_2をスパッタ製膜し,Tiを下地としてめっきCuコイルの種層となるCuを0.1μmスパッタ製膜した.レジストフレームの形成後,硫酸浴によってCuめっきを行い3μm厚のスパイラルコイル層を形成する.次いでフレームを除去し,イオンミリングによってめっきの種層を除去する.更に絶縁層としてSiO_2をスパッタ製膜し,テーパエッチングを行った.テーパの付与されたSiO_2上に上部CoNbZr磁性層をスパッタ製膜,エッチングする.続いて,再びSiO_2を製膜しその上に引き出し線を形成する.プロセスを簡単に行うよう,引き出し線はリフトオフプロセスで形成した.最後に,CoNbZr層の磁気特性を整えるため,磁界中熱処理を行い完成した.スリットのない磁性膜設計のインダクタにおいて,1GHzでL=8nH,Q=12が得られ,これまでの高周波集積化インダクタの最高データを更新できた.またシミュレーションで予測されたとおり,スパイラルのコイル辺と磁性膜のスリットの位置関係によって,とくに5GHz以上の特性が異なることが明らかになった.
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