炭素クラスターによる量子化学計算およびフラーレンの生成機構に関する理論的研究
Project/Area Number | 02F00153 |
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Structural/Functional materials
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Host Researcher |
後藤 仁志 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教授
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Foreign Research Fellow |
ZHAO Xiang 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
ZHAO X.
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed(Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost : ¥2,200,000)
Fiscal Year 2003 : ¥1,200,000 (Direct Cost : ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002 : ¥1,000,000 (Direct Cost : ¥1,000,000)
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Keywords | フラーレン / カーポンナノチューブ / 量子化学計算 / 相対安定性 / 高次異性体 / 温度効果 / Stone-Wales転移 / 炭素ナノオニオン / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
この1年間で以下の4つのトピックに関する研究を遂行した。 (1)フラーレンの温度依存的安定性計算:これまでに単離・確認されている約10種類を含むC_<76>-C_<94>高級フラーレン全IPR異性体の生成自由エネルギーの温度変化を求め、安定性序列に関する実験事実を矛盾無く説明することができた。さらに現在すでに実験で単離されしかも理論には全く解明されていないC_<96>-C_<100>、C_<102>、C_<110>、C_<116>、C_<120>などに関しても同様な計算を行い、安定構造に関する予言を行った(それらの関連計算結果が論文発表または印刷中)。 (2)フラーレン生成におけるマジックナンバー60の謎解明:今まで行ってきたStone-Wales転移の結果を用いて、IPR存在しないC_<52>-C_<58>とC_<62>-C_<68>フラーレン初期中間体を洩れなく評価し、高温における生成分布を正しく求め、動力学的解析(DRC)法を利用してI_h-C_<60>への転移反応経路を追跡した。フラーレン生成段階の最終温度範囲は約2200-2300Kと推定した。既にフラーレンC_<62>に関して熱力学的最安定構造を検出し、極高温によって結合解離に関して興味深い知見が得られている(関連論文は印刷中)。 (3)炭素小クラスターの電子状態、全エネルギーに関する研究:これまでにC_<20>、C_<28>、C_<32>、C_<36>に対してab initio計算を行い、実験結果と一致する理論予言が得られ、構造パタンと安定性との関係にはいくつかの普遍的原則を発見した。更にC_<40>やC_<50>などに関してもhigh-levelな量子化学計算を行い、C_<60>より小さなクラスターに関する電子状態、構造、物性、反応性などを調べている。(関連論文は投稿中) (4)炭素ナノオニオンの生成機構に関する研究:最近カーボンブラックの電子線照射によるラセン型ナノ炭素粒子と多層フラーレンの相互変換が観測されており、この現象がフラーレン生成機構と密接に関係していることは明らかである。そこで現在我々が提案しているラセン型ナノ炭素粒子の立体構造モデルに対し、適当な分子軌道計算法による動的反応シミュレーションを行っている。しかしこのDRC計算は非常に多くの計算機能力を必要と判明された。現段階は残念ながら我々が期待した直接オニオンを生成する反応ではないが、その後に1,2シフトして反応が進むとオニオンへ,或いはさらにsp^3炭素が増えるならばオニオン内部のダイアモンド形成へと進行する可能性がある。今後の計算はラセン型ナノ炭素粒子から多層フラーレン(オニオン)への生成機構を明らかにするため、大いに期待しているところである。
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Report
(2results)
Research Products
(14results)