Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
フォトンモード光記録材料として期待されている有機フォトクロミック化合物の一つであるジアリールエテンにヘリセンを組み込んだ化合物を合成した。ヘリセンは旋光度が大きいことで知られている。光照射によって,光照射前は存在しなかったヘリセン骨格が生じることにより,旋光度の値が大きく変化することが期待される。なぜ大きい旋光度変化が有用であるかというと,光記録材料の記録の読み出しに,旋光度を用いることが可能であるからである。旋光度は,吸収帯にかからない光で,すなわちフォトクロミズムを誘起しない光で値を測定することができる。従って,記録の読み出しによって記録を破壊することなく読み出すことができる。 まず合成反応を行った。Diels-Alder反応をキーステップとすることとし,いくつかの合成ルートを検討した。ジエンとしてビニルチオフェン,1-メトキシビニルチオフェン,2-メトキシビニルチオフェン,ジェノフィルとしてパラベンゾキノン,P-トルエンスルフィニルベンゾキノン,を用いて反応を試みた。その結果,最終的に,1-メトキシビニル基を持つチオフェンおよびメトキシメトキシエチル基を持つベンゾチオフェンをアリール基として持つジアリールエテンと,パラベンゾキノンのDiels-Alder反応を行うことで縮環した化合物を得ることができた。その後,この化合物のキノン部位のハイドロキノンへの還元,生じたフェノール性水酸基のエステル化,によって目的化合物を得た。この化合物は紫外光照射によって赤く着色した。 今後,この化合物の光学分割を行い,光反応による旋光度変化を調べる。
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