Project/Area Number |
02F00805
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
林産学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CLAIR Bruno 京都大学, 木質科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2002: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 引張あて材 / 細胞壁構造 / 力学的最適化 / ゼラチン繊維 / FTIR / ケモメトリクス法 |
Research Abstract |
木は中空の繊維細胞の集合体で、個々の繊維は引っ張り性能に優れたセルロースミクロフィブリルを骨格物質とする細胞壁から形成されている。木の幹では、風雪などの外部からの力に対抗する手段として、幹の外周部をプレストレス下(引っ張り)に保っている。したがって、幹より木材を切り出すと、応力が開放されることにより表面ひずみが観測される。このような力を成長応力と呼び、その発生機構に関して、相反する説明が提案されている。「セルロースが縮む」説と「マトリックスが縮みミクロフィブリル傾角(MFA)が変化する」説である。これらは、いまだ実験的に証明されない命題であるが、名古屋大学において奥山教授のグループが長年研究しており、その多くの蓄積にもとづいて「セルロースが縮む」であろうことが示唆されている。しかし、分子あるいはナノレベルの機構に関してはいまも結論が出ていない。本研究はその点を実験的に明らかにするために以下のような実験を行った。 播磨のSPring8放射光X線実験施設(課題番号2003B0436-NL2a-np)において、広葉樹ポプラあて材部の成長応力解放前後の小角および広角のX線図を撮影した。試料にもちいた広葉樹ポプラあて材部の組織は、立木の状態でひずみゲージを貼り、実験終了まで応力が開放されないように工夫した。成長応力解放前後の小角X線散乱図からは、ミクロフィブリル傾角にほとんど変化がないことが分かった。また広角のX線回折図上の004面の回折点は成長応力解放時に広角側へシフトした。このことから、セルロース結晶格子が縮むことが初めて実験的に示された。すなわち、あて材部の大きな生長応力の発生要因の一つは「樹体内のでセルロース結晶が引張状態にあること」であるという画期的な成果を得ることが出来た。
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