スピングラスとナノ磁性粒子系におけるガラス的振舞い-実験とシミュレーション
Project/Area Number |
02F02309
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 一 東京大学, 物性研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JONSSON Petra Erika 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2004: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | (スピングラス相の)磁場中安定性 / エイジング現象 / 平均場描像 / 液滴描像 / ガラス的ダイナミクス / ナノ磁性粒子系 / 超常磁性 / 超スピングラス |
Research Abstract |
1)磁場中イジングスピングラス(ISG)におけるガラス的なダイナミクス 磁場中(短距離相互作用型)ISGに平衡相転移が存在するか否かを巡って、平均場描像(存在する)と液滴描像(存在しない)との論争がSG研究の早い段階から続き、決着が付いていなかった。受入研究者は、まず、SG理論模型に対する磁場シフトエイジング現象の解析から、平均場描像の平衡相転移とされた実験結果は、非平衡の動的クロスオーバーと理解できることを主張した。これを受けて、Jonssonは、ISGであるFe_<0.55>Mn_<0.45>TiO_3のdc磁場中のac磁化率を詳細に観測し、これが、平均場描像から予測される平衡相転移点に向けた臨界発散を示さない替わりに、液滴描像から導かれる、動的クロスオーバーのメカニズムでよく説明されることを明らかにした。さらに、磁場中冷却磁化率とゼロ磁場中冷却磁化率について、同上物質に対する実験と対応するシミュレーションを行い、両者の結果は、実験とシミュレーションの時間スケールの違いを正しく取り込むことによりよい一致を示し、動的クロスオーバー描像を強く支持するものであることを検証した。これらは、磁場中で実測されるISGの転移様現象は、平衡相転移ではなく、ガラス的ダイナミクスとして統一的に理解できることを示した重要な成果である。 2)ナノ磁性粒子系におけるガラス的なダイナミクス ナノ磁性粒子系が、加えられた温度の(一旦停止を含む)冷却過程の詳細がその後の昇温過程に反映されるという、奇妙な記憶効果をもつことが観測され、それはこの系がSGであることの証左であるとの報告が最近なされた。これに対して、粒子のモーメント間に相互作用がないナノ磁性粒子系(超常磁性体)でも、粒径が分布していれば、モーメントの磁化反転に対する障壁エネルギーが分布し、報告された奇妙な記憶効果が再現することをシミュレーションで示した。並行して、JonssonはSG的相互作用の存在が検証されているFe-Nナノ磁性粒子系(超SG)における同様の記憶効果を含む遅い緩和現象について詳細な実験を行い、超常磁性体と超SG、及び、超SGと通常(原子スピン)SGにおけるガラス的ダイナミクスの相違を明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)