Research Abstract |
本研究は逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と質量分析法(MS)を組み合わせて魚油成分の分子種組成を位置異性体を含めて精密に分析する方法の開発とその応用を目的として行われたものである.得られた成果は以下のように要約される. (1)逆相HPLC分析(Supershere ODS,25cm x 4mm i. d.光散乱検出器使用)を用いて,トリアシルグリセロール(TAG)の位置異性体を分離する方法を検討した.アセトニトリルに種々の溶剤(イソプロパノール,アセトン,エタノール,メタノール,ブタノールなど)を加えて逆相HPLCの移動相を調製し,分析条件の最適化を図った.その結果,16:0/16:0/22:6と16:0/22:6/16:0など高度不飽和酸を含む位置異性体をほぼ完全に分離することにはじめて成功し,これまで不可能であった魚油のTAG位置異性体の分析を可能にする道を開いた.この研究成果は,日本油化学会(2003年9月,名古屋),日本分析化学会(2003年9月,仙台)及び北海道支部冬季研究発表会(2004年2月,札幌)及びアメリカ油脂化学会(2004年5月,シンシナチ)で発表した.なお,論文はJournal of Separation Science誌 (S.Momchilova, K.Tsuji, Y.Itabashi, B.Nikolova-Damyanova and A.Kuksis : Resolution of triacylglycerol positional isomers by reversed-phase high-performance liquid chromatography.とJournal of Chromatographic Science誌(投稿中)に掲載された. (2)上記の方法にMSを併用して,魚油(カツオ油)から初めてに適用して,16:0/16:0/22:6と16:0/22:6/16:0の位置異性体が2:1の比率で存在することを初めて明らかにした(投稿準備中).
|