エクトイン遺伝子発現によるトマトおよびダイズの塩ストレス耐性の強化
Project/Area Number |
02F02512
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
植物栄養学・土壌学
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 耕之輔 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOGHAIEB Reda Elwany Abd El-Haleem 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2004: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | エクトイン / 塩ストレス / 形質転換 / 光合成 / 物質の転流 / 気孔開度 / 窒素移動 / 窒素固定共生系 |
Research Abstract |
植物の環境ストレス耐性の強化、特に塩ストレス耐性の強化はエジプトなど世界の約40%にも及ぶ乾燥、半乾燥地帯の持続的な食糧生産システムの確立のために必須である。レダ・モガイブ博士は、科学研究費補助金(特別研究員奨励費)によって、2か年間に渉って植物の塩ストレス耐性を強化するため研究を実施することができ、大きな成功を収めた。その研究の概要は次の通りである。(1)まず、海水の微生物が塩ストレス耐性に優れ、特に、古細菌(Haloferax alexandrinus)は5Mという極めて高い塩濃度下で増加速度が最も高いことを明らかにした。この点に着目し次のような研究を行った。(2)塩ストレス耐性に関る遺伝子(エクトイン合成酵素遺伝子)のクローニングに成功した。(3)また、エクトイン合成酵素遺伝子を用いて、形質転換体の作出を行い、タバコ及びトマトにおいて世界で初めて塩ストレス耐性の形質転換に成功した。以上のように、分子生物学的手法により新しい塩ストレス耐性植物を作出した。ついで、この形質転換体について、植物生理・生化学的手法によって、塩ストレス耐性を評価している。例えば、(4)転換体は相対生長から、塩ストレス耐性が野生株より高いこと、(5)その耐性強化の主要因は、光合成能をより高く維持することであり、それは、Rubisco濃度が高く、気孔伝導度も高く、蒸散流による葉への窒素供給の持続などによることを示した。これらの成果は、国際誌に投稿中である。以上のように、植物の塩ストレスを強化するための基盤を確立した。この成功に力を得て、(6)エクトイン遺伝子をダイズ、クローバなどの主要なマメ科作物に導入し形質転換を行い、耐塩性を高めると共に、同様の形質転換を根粒菌についても行い、この両者による植物-根粒菌共生系の塩ストレス耐性の強化のための研究を展開している。 以上の研究は、世界的にも初めての成功であり独創性が高い研究であるのに加えて、特に、マメ科植物-根粒菌などの窒素固定共生系の塩ストレス耐性の強化は、発展途上国など食糧不足がしばしば深刻化する国々の持続的生産体系の確立に資する所、極めて大きいものと評価できる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)