Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
今年度は主に南極氷床縁およびパタゴニア氷原縁の氷河地形・氷河堆積物の調査を行った.その目的は,北海道日高山脈に発達していた更新世小規模山岳氷河の「消長と編年」および「氷河底堆積・変形環境」に関する自身のこれまでの研究成果を,現存する大規模氷床・氷河の地形・地質学的環境と比較検討することである. 南極氷床縁における研究では,東南極リュツォ・ホルム湾沿岸陸上露岩域に分布する未固結堆積物の一部が氷床底変形地層であること,そしてその延性的変形が第四紀後期の東南極氷床の流動特性を決定づけていた可能性があることを明らかにし,その成果の一部を国内・国外の学会で発表した.この研究に際して氷床底地層中に観察された肉眼スケールの変形構造(剪断面)と主要岩質(粘土)は,日高山脈トッタベツ川流域の氷河底変形地層の構造(剪断面・礫破砕・褶曲)や岩質(粘土・礫)よりも単純であり,推定される累積歪は日高山脈のものより南極のもので格段に大きい.このような地質学的差異の主要な原因は,氷底下地層の母材の違い(南極:変成岩,日高山脈:融氷河流・氷河上起源の軟堆積物)と,双方の地層に適用された氷成応力(南極>>日高山脈)の違いによると考えられる.現在は,これら仮説を,両地域における氷底変形地層の微細形態学的特徴に基づいて検証している. 一方,パタゴニア氷原については,完新世後期に氷縁で形成された氷河地形の発達史を検討している.この研究では,氷河下流方向に傾く層理をもつターミナルモレーン構成層中,およびアイスコアードモレーン被覆層中から複数の材化石を採取しており,それらの炭素同位体年代を現在測定中である(2005年度春の国内・国際学会で発表予定).ここで記載したターミナルモレーンは非常に新鮮な形態を残しており,その分布も模式的である.それらを形成した氷河は,日高山脈の更新世氷河と同様に急峻な斜面に囲まれた谷氷河であることから,その野外の記載は日高山脈における氷河作用研究に際して有効な認定基準となるはずである.
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