受容体タンパク質の活性化に対する振動エネルギー移動の理論的研究
Project/Area Number |
02J00230
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Osaka University (2003) Hokkaido University (2002) |
Principal Investigator |
久保 稔 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ダイナミクス / 振動エネルギー / エネルギー移動 / 分子動力学 / 電子移動 / コヒーレンシー / ポルフィリン / 超高速分光 / グルタミン酸受容体 / 静電相互作用 / 振動相互作用 / 分子衝突 / 振動励起 / 構造変化 / 量子化学 |
Research Abstract |
1.受容体内振動エネルギー移動の分子動力学シミュレーション グルタミン酸受容体はリガンド誘導型イオンチャネルであり,脳の神経伝達に関与している.リガンドの結合は受容体リガンド結合部位のArg485側鎖を振動励起することが,昨年度の研究から明らかにされている.次のステップとして,Arg485の振動励起に対してsensitiveに応答する部位を分子動力学計算によって明らかにした.Arg485の振動励起エネルギーの約40%が,0.5ピコ秒以内にLys730に移動した後,主鎖に沿ってJヘリックスへと移動して,数ピコ秒でJヘリックスにサブÅの原子変位を与えた.Jヘリックスはサブユニット間の会合部位に位置している.膜貫通部位の構造が解明されていないため,その後のダイナミクスを調べることは不可能であったが,アセチルコリン受容体(神経伝達に関わる他のリガンド誘導型イオンチャネル)ではサブユニットの回転がチャネルを活性化していることが最近明らかにされた.グルタミン酸受容体でもサブユニット間に与える摂動がサブユニット間の運動のトリガーとなって,チャネルの活性に関与している可能性がある. 2.モデル化合物を用いた反応と振動のカップリングの実験的検証 タンパク質の振動ダイナミクスが反応や機能に関与していることを実験的に調べるために,よりシンプルな光合成モデル化合物ポルフィリン-フェロセン結合系の光電子移動を時間分解蛍光up-conversion測定およびpump-probe過渡吸収測定によって調べた.ポルフィリン-フェロセン結合系をS_2状態へ励起すると,50フェムト秒でS_1状態へ緩和した後,110フェムト秒でフェロセンからポルフィリンへ電子移動が起こることが明らかにされた.生体分子に匹敵するこの超高速電子移動は溶媒の極性に依存しなかった.pump-probe信号にはコヒーレントな振動ダイナミクスが振動成分として観測され,その振動の位相は電子移動に伴ってシフトすることもつきとめた.モデル化合物においては分子振動が反応とカップルしていることが明らかにされた.
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)