理想化大気大循環モデルを用いたストームトラックと長周期変動に関する研究
Project/Area Number |
02J00270
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Meteorology/Physical oceanography/Hydrology
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲津 將 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2002 – 2003
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | ストームトラック / 海面水温 / 気候形成 / 大気力学 |
Research Abstract |
南半球では、地表面条件の東西非対称性が小さいにもかかわらず、ストームトラックの東西非対称性は冬季に顕著である。本研究では、東西非対称な地表面条件の候補として、熱帯および中緯度の海面水温分布、アンデス山脈および南アフリカ台地の4つを選び、それぞれの効果を大気大循環モデルHadAM3を用いて調べた。そのために、標準実験(実験A)、熱帯(同B)および中緯度(同C)の海面水温をそれぞれ気候値の東西平均値に置換した実験および、南アフリカ台地(同D)およびアンデス山脈(同E)をそれぞれ除いた実験を行った。 南半球冬季のストームトラックの極大はインド洋に、極小はニュージーランド(NZ)付近にある。実験Aはこの特徴をよく再現しているので、実験Aと同B-Dとの比較は、本研究で着目する地表面条件の効果を明らかにする。実験Bでは極小が、同CおよびDでは極大が不明瞭になった。従って、熱帯の海面水温強制は極小に、中緯度の両強制は極大に対し本質的である。 南半球冬季、熱帯の海面水温の気候値は、インド洋よりインドネシアにかけて高い。ユーラシア大陸の影響も重なり、インド付近のハドレー循環が局所的に強くなる。これにより、インド洋亜熱帯で定常ロスビー波が励起され、中高緯度へ伝播する。その結果、NZ付近にジェットの分流が形成される。他の強制力では、極小の強度と位置を変え得ないので、熱帯の海面水温強制はストームトラックの極小に極めて有効である。このシグナルは、さらにデータ解析により、季節変動の中に、まさに見出された。ただし、冬季の経年変動は、熱帯大気変動と南極振動(AAO)の影響が大きく、このシグナルは検出されなかった。 中緯度海面水温の南北勾配の気候値は、マダガスカル島の南で最も大きい。これは、NZ付近を除き、総観擾乱の南北熱フラックスに非常によく対応する。何故なら、海面水温が直接下層の傾圧度を制御するからである。従って、中緯度の海面水温は、インド洋のストームトラック形成に有効である。南アフリカ台地やアンデス山脈は、大規模ロスビー波は励起せず、その下流域のストーム活動に影響を与える。これは、山岳がたとえ小規模であっても、力学的および熱的な効果により、傾圧渦を生成消滅させうるからである。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)