Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,触覚を介した聴覚補助装置において,広帯域振動刺激により多様な触感を惹起させ,理解しやすい音声情報の伝達を行うことであった.これまでの研究では,広帯域振動を提示できる小型アクチュエータを製作した.本年度の研究では,最初に,このアクチュエータを用いて指先皮膚全体を刺激できる多ピン型の触覚ディスプレイを製作した.そして,この触覚ディスプレイにより様々な触覚刺激を指先皮膚に提示し,触感を利用した音声情報伝達のための心理物理実験を行った. まず,単一ピンの振動により,振動周波数や振動波形の変化により惹起される触感の伝達情報量を求めた.刺激としては,周波数が25〜400Hzの範囲で変化する正弦波刺激と,波形が正弦波〜矩形波の間で変化する25Hzの振動刺激を用いた.この結果,触感の伝達情報量は,周波数の変化により約2bit,波形の変化により約1bitであり,触感の付加により伝達情報量を増やせることを確認した. 次に,音声情報をどのような触覚刺激に対応付けて伝達すべきかを探るため,複数ピンの振動により,皮膚上の刺激位置を固定した場合や移動させた場合において,周波数変化(25〜400Hz)や波形変化(正弦波〜矩形波)によりどのような触感が知覚されるかを調べた.さらに,声質情報を触感により伝達することを想定し,触感の尺度構成実験を行った.その結果,全被験者で連続した触感の変化が得られた.また,知覚された触感には個人差があったが,多くの被験者において,周波数変化と波形変化により,触感の硬さと粗さを変化させられることを確認した. 以上の結果から,広帯域振動刺激による多様な触感の提示により,音声情報を伝達するための指針が得られた.本年度の研究では,触感の変化を声質情報の伝達へ応用することを想定したが,これを子音・母音情報の伝達や,視覚代行や一般用途の機器へ応用することもできると考えられる.
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