イオン工学的手法による可視光応答型二酸化チタン薄膜光触媒の創製に関する研究
Project/Area Number |
02J00628
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
触媒・化学プロセス
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
竹内 雅人 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 酸化チタン薄膜 / 光誘起超親水性 / 近赤外吸収測定 / 倍音と結合音吸収 / 水素結合 / 水の表面張力 / 可視光応答性 / イオン工学的手法 / 光触媒 / RFマグネトロンスパッタ成膜法 |
Research Abstract |
酸化チタン薄膜は高い光触媒活性を有するだけでなく、紫外光照射により水の接触角がゼロになる光誘起超親水性が発現することから、光機能性材料として注目されている。これまで、光誘起超親水性の発現機構として、酸化チタン表面に紫外光照射を行うと表面水酸基が新たに生成し、これにより水吸着が促進される機構が提案されているが、その機構を裏付ける実験結果はいまだに報告されていない。本研究では、酸化チタン表面光誘起超親水性の発現機構を解明することを目的とし、酸化チタン上に吸着した水分子の近赤外吸収測定を行った。 大気中で測定したP-25の近赤外吸収スペクトルには、1940および1450nm付近に吸着水の逆対称伸縮と変角振動の結合音(asymr-ν_<OH>+δ_<OH>)、対称伸縮と逆対称伸縮振動の結合音(sym-ν_<OH>+asym-ν_<OH>)にそれぞれ帰属できる吸収バンドが観測できた。このうち、1940nm付近に観測できる吸収バンドを波形分離することで、吸着水クラスターを構成する水分子間に作用する水素結合の度合いに関する知見が得られることを見いだした。つまり、短波長側に観測されるピーク成分は気相の水分子に、長波長側に観測されるピーク成分は液相の水分子にそれぞれ対応し、前者は水素結合の寄与が少ない状態、後者は水素結合の多い状態であると解釈できる。さらに、これらの寄与する割合から水素結合の度合いを見積もることが可能であり、酸化物の表面水酸基と水分子との親和性などの物理的特性を簡単に評価できることも見いだした。 この知見を踏まえて、酸化チタン上に吸着水が存在する系に紫外光照射を行うと、光照射時間に比例して水素結合の寄与が大きい水分子が主に減少することを見いだした。すなわち、光照射にともない、吸着水クラスターの水分子間に存在する水素結合の寄与が減少することは、水の表面張力が減少することを意味している。この光照射にともなう表面張力の減少が、酸化チタン表面で水が濡れ広がるドライビングフォースになると考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)