Project/Area Number |
02J00768
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 康人 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | エルサレム王国 / 西洋中世史 / 十字軍 / 十字軍国家 / 中世史 |
Research Abstract |
本年度は、エルサレム王国の被征服民であるイスラム教徒の実態を把握する一環として、ミッション活動(布教活動)に焦点を当てた考察を行った。かつて、武力的手段の十字軍と非暴力を訴えるミッション活動とは、二項対立的な関係に立つものであるとされていた。それに対して近年の研究は、両者の関係が対立的ではなく、むしろ聖地回復という最終目的を達成するための相補的なものであったことを明らかにしている。では、慢性的な臨戦態勢にある聖地国家においても、ミッション活動は恒常的に行われ、軍事活動と併存していたのであろうか。 13世紀半ばにエルサレム王国を訪れた教皇特使オドンの報告によると、聖地国家の有力者たちがイスラム教徒によるキリスト教への改宗には消極的であったことが解る。この背景として、聖地国家の有力者にとって重要であったのは、キリスト教信者の増加ではなく、異教徒から徴収される人頭税からの収益であったこと、そして聖地国家ではイスラム教徒のキリスト教化に関して、その必然性が生じるほど両教徒間に密接な関係が生まれなかったことが考えられる。また、13世紀後半にミッション活動のために来東したドミニコ会士リコルドの活動を調査すると、その目的はイスラム教徒の改宗ではなく、東方諸教会のローマ教会への帰属であったことが解る。 こういったことから、従来の説とは異なり、聖地国家内にはそれほど多くのイスラム教徒が居住していなかった可能性を窺い知ることができる。そしてその可能性は、近年にR・エレンブルムが考古学的調査より明らかとした文化・宗教的境界線の存在からも、より高められよう。以上のことを念頭に置きつつ検討を進めることで、従来とは異なるエルサレム王国の実像が浮かび上がってくるものと思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)