Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
我々は遺伝性ポリグルタミン病の一つMachado-Joseph病の病因タンパク質と相互作用する因子としてAAA ATPaseファミリーに属するp97/VCPを同定した。私は、ATPase活性を消失させたVCPの点変異体(K524A)が激しく空胞化を伴う細胞死を誘導すること、K524A変異体によって誘導される空胞は、異常に拡張した小胞体(ER)であり、ERストレス応答を伴うことを明らかにしてきた。今年度は、VCPが、神経変性疾患の病変部位に観察される凝集タンパク質(凝集体)と共局在する特徴を持つことから、「何故VCPは凝集体と共局在するのか」という疑問にとりくんだ。「VCPは凝集体を認識し、解体処理する機能を持つ」という可能性に着目して、培養細胞を用いた継続的な顕微鏡観察によるVCPの動態解析を行った結果、VCPは凝集体形成時に巻き込まれるのではなく、既にできあがった凝集体を感知して集まること、凝集体の解体時にもVCPは常に凝集体と共局在し続けることを見いだした。さらに、RNAiを用いたVCPのノックダウンを行い、細胞内でVCPが凝集したタンパク質の分解処理に関与していることを明らかにした。また、ドミナントネガティブ変異体(K524A)を用いても同様の結果が得られた。凝集体に対するVCPの機能をより詳細に調べるために、VCPをノックダウンした細胞に野生型VCPあるいはATPase欠損変異体VCPを入れ戻す実験系を確立し、その結果、VCPのATPase活性は、凝集タンパク質の「解きほぐし」の段階に必須であることを証明した。すなわち、VCPが細胞内の異常蛋白質を認識するセンサーとしての能力と、凝集体を解体・処理するシャペロン様の能力を共に有することを明らかにすることができた。
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