Project/Area Number |
02J01315
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
経済理論
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川名 雄一郎 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | J・S・ミル / 『論理学体系』 / エソロジー / 性格学 / アメリカ / 社会科学方法論 / 文明論 / 社会認識論 / 文明社会 / 哲学的急進派 / ヨーロッパのアメリカ観 / 功利主義 / トクヴィルとミル / 国制改革 |
Research Abstract |
J・S・ミルの『論理学体系』(1843年)の研究を集中的に行った。具体的には、ミルが『論理学』の中で構想したものの未完に終わったエソロジー(性格学)について、思想体系を念頭に置きながら、その意義を検討する研究を行った。これまでの研究においては、性格学は、経済学との関連で言及されることが多かった。たしかに経済学における応用的役割(現実を考慮した理論の修正)は、性格学の重要な役割のひとつであったが、そのような議論はしばしば、それが性格学の主要な目的であったという主張に横滑りしがちであった。申請者の見解では、性格学の重要性は、そのような役割にとどまらないものであり、この科学は、いわゆる「精神の危機」後のミルの人間観から引き出され、思想体系のなかで重要な意義を持つべきものであった。 このような観点から具体的には以下の3点について考察した。第一に、『論理学』をその出版以前からのミルの性格形成理論への関心との関連で検討することで、性格学と、その前提となる人間観や社会観との連関を考察した。第二に、コントとの文通を検討することで、性格学が、直接的にはコントとの論争において社会静学の基礎として構想されたことを明らかにし、思想体系における位置づけを考察した。第三に、この科学に表現されたミルの実践的な問題意識を、人間観や社会観との連関を考慮しつつ、明らかにした。性格学は社会静学の基礎を担うことからだけでなく、より実践的な点からも重要な科学であった。つまりそれは、教育の科学的基礎をも担うべきものであった。 この研究の成果に基づき以下の口頭発表を行い、さらに論文としてまとめる予定である。 ・経済学史学会全国大会 2003年5月24日 於 京都同志社大学 「J・S・ミルのエソロジーについて」 ・日本公益(功利)主義学会 2003年7月13日 於 大阪 大阪歯科大学 「J・S・ミルと性格形成の科学」 また論文「J・S・ミルとアメリカ-思想形成期における意義-」、『思想』(岩波書店、2003年9月号)を発表した。 今年度の補助金は、上記の研究を遂行するための、主に(1)ミル研究および、関連する近代イギリス社会思想に関する書物の購入、(2)ロンドン大学におけるミルに関する文献・資料の収集および調査、に充てられた。
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