Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Research Abstract |
ワーキングメモリ機能は,情報の保持だけでなく,保持された情報を選択統合したうえで,運動領域などへ出力する働きがある.中でも,最近いくつかの生理実験結果が報告されている前頭前野における目標志向型のルールの表象は非常に興味深い(Asaad et al., 1998, ; White and Wise, 1999 ; Wallis et al., 2001).また,脳損傷患者の例でよく知られているように,前頭前野損害を持ったヒトはウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)の中で紋切り型の欠損を示す.このように,前頭前野に障害があるとルールに従うのがしばしば困難になることから,ルールの利用は前頭前野の活動によると考えられる.しかしながら,ルールに関するサルの生理実験データに関して,モデルを用いて明らかにしようとした研究は,ほとんどないのが現状である. そこで,前頭前野におけるルールの符号化に関するニューラルネットワークモデルを提案し,Wallis et al.(2001)の生理実験結果のシミュレーションを行うことにより,ルールの情報処理ダイナミクスの検証を行った.その結果,Wallis et al.(2001)で示されたルール選択性ニューロンの特性を再現することができた.さらに,モデルのユニットの時間パターンと結合荷重を分析し,その特性を生理実験結果と比較した.結合荷重の分析を通じて,ルールに基づいた遅延見本合わせ課題を行うときの前頭前野の機構を明確にし,ルール選択的なニューロンの機能的な役割を解明した. さらに,学習していない入力に対しても,タスクが出来るように,モデルを拡張して,提示期間,遅延期間,反応期間において,より詳しくユニット特性を見ることにより,生理実験との比較を行った.その結果,ニューロンの時間特性以外に,ルール指標分布についても,生理実験結果を再現し,生理実験では調べられていなかった反応期間におけるニューロン特性に対する予測を行った.
|