Project/Area Number |
02J02628
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
機能・物性・材料
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大久保 貴広 千葉大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 電解質溶液 / 活性炭素繊維 / ナノスペース / EXAFS / 吸着 / 溶媒和構造 / 臭化物イオン / ルビジウムイオン |
Research Abstract |
本研究は、1nm程度の極薄スリット空間中におけるイオンの状態を局所構造解析から検討することを目的として行われた。特に本年度は細孔の形状が吸着した電解質溶液の構造形成に与える影響について解明することに成功した。 ナノ細孔を与える試料としては、スリット型細孔を有するピッチ系活性炭素繊維(ACF;P5及びP20、平均細孔径はそれぞれ0.7、1.1nm)と、円筒状細孔を有するsingle-wall carbon nanohorn(SWNH)を用いた。ここで、SWNHに関しては、有効な円筒状細孔へ吸着させるために酸素気流下で酸化処理したもの(ox-SWNHと表記する)を用い、比較のために酸化処理前の試料についても検討を行った。これらの細孔性試料に電解質水溶液の臭化ルビジウム水溶液(1mol/cm^3)を真空加熱脱気後のACFおよびSWNHに直接導入し電解質溶液を細孔内に含浸した。余分な水分を取り除く為に再び真空加熱脱気を行い、その後、水を303kにおける飽和蒸気圧下にて再吸着させた試料についてEXAFS測定(高エネルギー加速器研究機構;KEK-PF BL-10B、課題番号2002G242)を行った。 昨年度の研究成果より、スリット型ナノ細孔内におけるイオンへの水和構造は、細孔径に依存した特異な構造を示すことがわかっている。スリット型細孔が0.7nm程度になると、バルクにおける溶媒和構造を保てる程のスペースが確保できず、歪んだ形での水和構造を示す。イオン-水間の距離がバルクのそれよりも小さくなり、イオンに配位する水分子の数も減少することから、細孔のポテンシャル場に強く制約された形で吸着しているものと考えられる。一方、スリット型細孔が1.1nm程度になると、イオンに配位する水分子が0.7nmの場合よりも更に減少し、配位水までの距離及び数は依然としてバルクの水溶液よりも小さい。特に1.1nmのスリット空間内では、水分子間のクラスター形成が優位となりイオンに配位する水分子の数が急激に減少することが明らかとなった。一方、ox-SWNH内に制約されたイオンの水和構造は、第1水和殻までの距離が短くなり、水和数が2〜3程度になることが明らかとなった。バルク水溶液中における水和数が6であるルビジウムイオンの場合でさえ、このような水和数の著しい減少が見られたのは興味深い。ナノ細孔内における擬圧縮効果が水和構造に与える影響が非常に大きいこと、そして、ナノ細孔の形状を鋭敏に反映した水和構造をとり得ることが明らかとなった。
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