社会的実践としての民俗技術の変容に関する人類学的・民族誌的研究
Project/Area Number |
02J02753
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
大西 秀之 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 技術 / 社会的実践 / 開発 / 身体 / 内水面漁撈 / 製糖業 / ラオス・メコン河流域 / 奄美・徳之島 / 伝統工芸・民俗工芸 / 徳之島・奄美大島 / 小商品開発 / 北タイ・イン川流域 / フィリピン山地民社会 / 小商品経済 |
Research Abstract |
本年度は、開発による近代化や市場経済との接合などが、現地の生業活動の技術的実践にどのような影響を及ぼしているか、という問題に焦点を当て調査・研究を実施した。具体的な活動としては、本年度も海外と国内の二つの地域で調査を実施した。まず、海外は、ラオス南部サワナケット県ソンコン郡ラハナム地区で8〜9月と11〜12月の二回にわたって調査を実施した。同調査では、ラハナム地域の一村落であるドンバンを対象として、一年間に従事する生業活動と家計に関する聞き取りを行うなかから、世帯ごとの生計戦略の全容を明らかにするとともに年間の現金収入・支出の総額の概算につとめた。これと併行して、11〜12月の調査では、性別や世代を加味して7名の村人を選定し12時間の生活時間(個体追跡)調査を行い、農閑期における個々人の行動選択の把握を試みた。これらの調査の結果、市場経済との接合が進むなかで、どの世帯も現金収入を得る必要に迫られていることが明らかになった。さらに、このような背景から、生業活動の目的として、日々の自給消費的な生産物の獲得のみならず、現金収入を得ることの比重が増加して行く傾向にあり、その影響が個人の行動選択や世帯の生計戦略にも及ぼされる可能性が捉えられた。いっぽう、国内は、前年度に引き続き、2月に鹿児島県徳之島において調査を行った。同調査では、最大の「地場産業」である製糖業の変遷と島内の社会生活の関係の追究を、徳之島町母間地区を中心とする農家や製糖工場などでのインタビューを行うなかから試みた。この結果、サトウキビ畑が主体を占める現在の島の景観は、昭和30年代後半(1970年代前半)以降の製糖業の合理化を目的とした農協への一極化や大規模工場の設置などにより、米作からの転換の結果であることが明らかとなった。また、島内の農家は、稲作を放棄しサトウキビ栽培に集約した結果、現金収入が増加するとともに、世帯単位での小規模精糖作業を行う必要がなくなったことが窺われた。しかし一方で、稲作や精糖作業の放棄は、水利慣行や年中行事などに少なからず影響を与え、集落内部における社会的紐帯の在り方に変化をもたらした可能性が捉えられた。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)