Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
今年度は,十勝沖において海洋地球研究船「みらい」MR01-K03航海で得られた海底コアPC6(水深1066m,コア長約7m)の有孔虫殻酸素・炭素同位体比分析に取り組んだ.堆積年代の決定のために15層準について浮遊性有孔虫化石の放射性炭素年代測定を行った.同位体比分析は海洋研究開発機構むつ研究所の同位体比質量分析計を用いて測定した.炭素同位体比は,最終氷期の層準で浮遊性・底生ともに通常の保存状態では考えられない-10‰〜-2‰の大きな負のスパイクを数層準で記録した.酸素同位体比についても,最終氷期の多くの層準で0.5‰程度の正のスパイクを記録した.炭素同位体比異常の観察された層準では有孔虫殻が褐色に着色しており,二次的な続成作用の影響が考えられる.軽い値をもつ炭素同位体比の炭酸塩が有孔虫殻に二次的に付着している可能性が考えられる.自生的な炭酸塩の形成は,海底におけるメタン冷湧水環境のような還元環境下でメタンが供給される場において確認されている.さらに,メタンハイドレートに取り込まれている水の酸素同位体比が周囲の海水よりも数‰重い値をもつことが報告されている.本コアの有孔虫殻酸素同位体比の正異常は,それと整合的結果である.したがって,十勝沖海底面付近において,最終氷期から現在の期間内でメタンハイドレート層からメタンが供給され,そのメタン酸化の際に有孔虫殻に炭酸カルシウムが二次的に付着した可能性が高い.今回,同位体異常の観察された海域は,十勝沖地震などM8クラスのプレート境界型大地震が周期的に起きる場であり,防災上の観点でも重要な研究フィールドであることが本研究により認識された.今後,メタンハイドレート層からどのような要因によってメタンが放出されるのか更なる調査を予定している.本研究結果は,米国地球物理学会の雑誌で近日中に発表される予定である.
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