人工膜上に再構築したRasシグナル伝達系の1分子可視化解析
Project/Area Number |
02J05041
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional biochemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新井 由之 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | Ras / 脂質二重膜 / FRET / 1分子観察 / エフェクター / 1分子イメージング / 偏光 / 準安定状態 / 蛍光共鳴エネルギー移動(FRET) |
Research Abstract |
低分子量Gタンパク質の一つRasは細胞の増殖や分化の促進に重要な役割を果たす、代表的なシグナル伝達タンパク質である。通常はGDPと結合した不活性型であるが、ホルモンなどの細胞外刺激により、GTPと結合した活性型へと交換される。活性型のRasはRafやRalGDSなど多様な標的タンパク質と結合することにより、様々なシグナル伝達経路に関与している。しかし、Rasがどのようにしてそれら多様な標的タンパク質を選択しているかは明らかではない。 本研究は、人工膜上という、比較的生体内に近い条件で、しかし環境をコントロール系を構築することで、Rasの詳細な機能解明を目的としている。 DOPCとNi-NTA-DOGSを混合して作成したliposomeを20mMCa^<2+>条件下で融合させ、電気炉で処理したスライドガラス上に脂質二重膜を形成させることに成功した。His-tagを融合させたRasタンパク質を膜上で観察することに成功した。1分子観察時においては、タンパク質は固定されていることが望ましいが、AnnexinVを加えることで、膜上のタンパク質の拡散を抑制することに成功した。さらに、非特異的結合の激しいRasの標的タンパク質を、二重膜で防ぐことにより、Rasと標的タンパク質との1対1の結合乖離の観察に成功した。 また、蛍光標識したRasと蛍光性GTPアナログとのFRETを、ガラスとの相互作用にみだされることなく観察することに成功した。その結果、Rasの構造はmsec〜secの領域でゆっくりと揺らいでいることが示唆された。 本研究で作成した系は、膜タンパク質の研究やシグナル伝達系の研究において、非常に有用であり、今後これらの分野において、積極的に利用される系と考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)