Project/Area Number |
02J05367
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物保護
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 伊織 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | Fusarium oxysporum / 植物病原糸状菌 / 病原性関連遺伝子 / 転写制御因子 |
Research Abstract |
Fusarium oxysporumは、世界的に広く分布する土壌生息性の糸状菌である。本菌には、植物の根から侵入して萎ちょう性の病害を引き起こす80以上の病原性系統が存在する。本研究では、メロンつる割病菌(F.oxysporum f.sp.melonis)の病原性関連遺伝子を探索することによって、F.oxysporumの病原性機構を遺伝子レベルから解析することを目的とした。 先に、形質転換ベクターを用いた遺伝子タギング法によって、メロンつる割病菌から17株の病原性変異株を分離し、それらのうち1株からミトコンドリア運搬体タンパク質をコードする遺伝子(FOW1)を同定した。本年度は、変異株B137の変異遺伝子の同定を試みた。その結果、B137株では菌類に特有なZn(II)2Cys6ファミリーの転写制御因子をコードする遺伝子(FOW2)が変異していることが明らかとなった。fow2変異株の病原性を検定したところ、本病に感受性の8品種すべてに全く病徴を引き起こさなかったことから、病原性を完全に欠損したことが示された。メロンつる割病菌は植物感染時にFOW2を発現すること、その変異株は根への侵入と組織中での定着・増殖能を失うことから、FOW2は植物への侵入と植物中での増殖の両方に重要な遺伝子であることが明らかとなった。また、fow2変異株の培地中で菌糸生育と胞子形成は正常であることから、FOW2は病原性に特異的に関与することが示唆された。FOW2は他の病原性系統にも広く分布し、トマト萎ちょう病菌(F.oxysporum f.sp.lycopersici)でも病原性に不可欠であることを確認した。以上の結果から、FOW2は病原性に直接関与する遺伝子群の発現を制御しており、これらを同定することによってF.oxysporumの病原性機構をより具体的に解明できることが示唆された。
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