Project/Area Number |
02J05651
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯久保 智 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 磁気励起 / "stripe" / 中性子散乱 / "stripe / 中性子錯乱 / カルコゲナイドスピノル / 磁気構造 / 異常ホール効果 |
Research Abstract |
銅酸化物の高温超伝導発現機構や常伝導相で見られる異常物性にはこの系の大きな磁気揺らぎが重要な役割を果たしている。我々は、この磁気励起に対する"stripe"もしくはその揺らぎの影響を調べた。ここで"stripe"とは正孔の一次元的秩序と考えられているもので、それが超伝導の発現に関与するとの説があるからである。その説が正しいか否かを知る目的で、YBa_2Cu_3O_y(YBCO)とLa214系の磁気励起スペクトルχ"(q,ω)(波数ベクトルq、エネルギーω)を測定し、"stripe"がこれらの系に共通に存在するかどうかまで含めて詳しく解析した。 スピン帯磁率χ(q,ω)=χo(q,ω)/{1+J(q)χo(q,ω)}(χo(q,ω)は相互作用の無い系の一般化帯磁率、J(q)はCu-Cu間に働く交換相互作用)を計算し、バンドパラメータ等、現実に即した物質パラメータを用いて観測されたスペクトルにフィットしながら解析を行ってきた。グループによるこれまでの研究では、YBCOのχ"(q,ω)が"stripe"の影響なしに計算で再現されるのに対し、La_<2-x>Sr_xCuO_4(LSCO)系やLa_<1.6-x>Nd_<0.4>Sr_xCuO_4(LNSCO)系のいわゆるLa214系では、x〜0.12で"stripe"秩序(LNSCOのx〜1/8の低温域で存在する)または揺らぎのために、秩序がまだ形成されていない高温域でも、χ"(q,ω)の観測データと計算結果とに低エネルギー域で差異が見られている。 計算をさらに高エネルギー領域まで拡張し、YBCOやLa214系の一つであるLa_<2-x>Ba_xCuO_4(x〜1/8)に対して最近報告された磁気励起スペクトルと比較し"stripe"の影響の有無を調べた。YBCO系ではχ"(q,ω)にcommensurate peakが現れるエネルギー(ω_r)を通り越してωを増加させたとき、逆格子空間の点(π/a,π/a)を基点にして眺めたincommensurate (IC) peakの位置が45°回転して観測されるが、上記のモデルでもその特徴がよく再現される。すなわち、ω_rを超える高エネルギー領域でも"stripe"の影響は見られない。この結果は、バンド描像を基盤にした当モデルの妥当性を示すとともに、"stripe"が銅酸化物系に共通に存在し、超伝導発現機構に重要な役割を果たすとする考え方に否定的であるように見える。La214系の一つであるLa_<2-x>Ba_xCuO_4の高エネルギー領域では"stripe"の影響がはっきりと識別できるほどの振舞いは同定できない。"stripe"の影響は主に低エネルギー領域でのIC peakのsharpeningとして観測される。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)