植物病原糸状菌の遺伝子水平移行に関わる染色体構造異常に関する分子細胞遺伝学的研究
Project/Area Number |
02J05906
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物保護
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土屋 大 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 糸状菌 / 染色体 / 走査型電子顕微鏡 / クロマチン |
Research Abstract |
植物病原糸状菌であるトウモロコシごま葉枯病菌(Cochliobolus heterostrophus)において推測されている遺伝子水平移行に関わる染色体構造異常に関して細胞学的な観点から解析することを目的として、糸状菌の体細胞染色体・核の走査電子顕微鏡(SEM)観察法を初めて確立し,クロマチンレベルでの高解像度観察を行った。今回確立した観察法は、発芽管破裂法でスライドガラス上に染色体・核の標本を作製、導電染色法としてオスミウム-チオカルボヒドラジド-オスミウム法またはオスミウム-タンニン-オスミウム法を用い、t-ブチルアルコール凍結乾燥,5nmでの白金コーティング後,電界放射型SEMで観察するというものである。得られた体細胞分裂中期染色体像は、動植物の場合と同様に棍棒状を呈し,主に高度に凝縮した30-50nmのクロマチン基本繊維および染色体マトリクスから構成されていた。また、クロマチン繊維表面には動植物と同様にこぶ状の染色小粒も確認できた。しかし、動植物の染色体では顕著に出現する動原体狭窄部および姉妹染色分体は、染色体のサイズが小さすぎるためこの領域がクロマチンに覆われ、大半の染色体で観察されなかった。最小と最大染色体の平均長軸はそれぞれ1.3,μm,1.5μmで,両者のサイズ比(1:2.7)は標本間でほぼ一定であった。間期核はおおよそ球状で,核小体と推定される空洞領域を有し,10-50nmのクロマチンおよび核マトリクスから成る繊維状構造であった。今回核で確認された10-20nmのクロマチンはヌクレオソームの基本繊維、染色体および核の30-50nm繊維はクロマチンの基本繊維であるソレノイドに対応すると考えられる。以上の結果から、菌類染色体は動植物染色体と三次元構造は酷似しており、基本繊維のサイズもほぼ同じであることが明らかとなった。これまでに菌類体細胞染色体・核のSEM観察例はなく、本研究によって初めて菌類の染色体・核の三次元構造が明らかにされた。現在、この手法を利用したSEMによるin situハイブリダイゼーション法を確立中である。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)