Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
凝縮体の中心に渦糸一本が存在する孤立渦状態での低励起構造は様々な理論計算によって十分に理解されている.代表的な低エネルギー集団励起の一つとして,凝縮体が二回対称な形状に変形する四重極モードがある.この四重極変形に伴い,系は特定の方向への角運動量を獲得する.量子渦状態では超流動速度場の形成により四重極モードの縮退が解け,その速度場に対して順方向及び逆方向の角運動量を与える二つの四重極モードが出現する.この四重極モードの振動周波数シフトは系の持つ角運動量により特徴づけられるため,四重極励起は角運動量測定に対する重要なアプリケーションとなっている. 最近の実験により,この二つの四重極モードの減衰率が劇的に異なっている結果が示された.本研究では,この減衰過程の相違について解明することを試みた.線形応答理論に基づく微視的視点から解析を行った.その結果として,四重極モードと,渦糸の振動モードであるケルビン振動モードとが強く結合した減衰過程が存在することを示した.さらに,その減衰機構は励起する角運動量の方向に対して選択的に存在する,すなわち,実験で測定された減衰率の劇的な相津は,この渦糸振動モードへの減衰機構の有無に起因していることを明らかにした.数値計算により得られた減衰率は実験結果と定量的に一致する. 以上の結果によって,量子渦糸状態の低エネルギー構造とその動的な性質に対する明確な理解が得られた.
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