Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
分子スケールで動作する分子デバイスを実現するために、ナノスケールでの分子の導電性について詳細な知見を得ることは必要不可欠である。今年度は、超高真空の走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、単一分子レベルでの導電測定を試みた。以下に得られた結果を述べる。初めに、測定対象分子にSTM探針を点接触させ、分子両端との化学結合による接触抵抗のない理想的な導電測定を可能にするため、"点接触測定法"を新しく提案し、そのシステムの構築を行った。その後、ナノスケールで分子の導電性を測定するために、測定試料として、電流をほとんど流さないアルカンチオール自己組織化膜(SAM)中に導電性分子として有名なオリゴチオフェン分子を孤立分散させたるための作成条件の最適化を行い、一分子測定が適応可能な作成条件を見出した。上記の試料を用いて、超高真空STMによりアルカンチオールSAM中に孤立分散させたオリゴチオフェン分子を同定したのち、孤立分子にSTM探針を点接触させ、上記で新しく提案・構築した"点接触測定法"を適応し分子の導電測定を試みた結果、アルカンチオール単分子膜上に比べ、非常に大きな電流が流れることが確認された。この結果は、"点接触測定法"を用いることにより、STM探針-分子間の接触抵抗をほとんど含まない状態で測定した結果であり、電極-分子間の接触抵抗を回避した理想的な導電性測定手法として非常に有効であることを示唆する結果が得られた。
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APPLIED PHYSICS LETTERS 85(16)
Pages: 3575-3577