突然変異体を用いた植物の細胞接着機構に関わる遺伝子の同定とその発現調節
Project/Area Number |
02J06093
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied molecular and cellular biology
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩井 宏暁 筑波大学, 生物科学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 細胞接着 / 細胞壁 / ペクチン / 半数体 / 突然変異体 / メリステム / グルクロン酸 |
Research Abstract |
半数体Nicotiana plumbaginifoliaの葉切片にT-DNAを導入することにより得られた不定芽形成能力の喪失と共に紳胞接着性の低下した変異体(nolac-H18)において、新規糖転移酵素遺伝子=NpGUT1(glucuronyltransferase 1)が同定された。NpGUT1は、ペクチン多糖にグルクロン酸を転移する新規酵素をコードするペクチン合成に関わる初めての遺伝子で、頂端分裂組織で特に発現が強かった。また、変異体のペクチンではホウ素を介した分子間架橋が形成されなかった。(PNAS,2002) 1)NpGUT1::GUS形質転換タバコにおいてNpGUT1は、未熟種子胚の全体(特に幼根)、発芽直後の子葉・茎頂、芽生えの茎頂および篩部で発現を示した。そこで、DEXによりアンチセンスNpGUT1が誘導される形質転換植物を作成し、DEX存在下で種子発芽を行った。その結果、子葉展開期までは影響が出なかったのに対し、本葉が出るステージになって、葉序に異常が生じ、全体的に黄化することがわかった。この表現型は、ホウ素を全く含まない培地にて種子発芽を行った場合に類似していた。このことは、NpGUT1の発現がホウ素の受容に必須であるこをを示している。 2)花においては、タペート組織、成熟花粉、花粉管の先端部、花柱の伝達組織においてNpGUT1の発現が見られた。NpGUT1の発現が強かった花柱の伝達組織は、花粉管の通り道となっており、また細胞間の接着が非常に弱い。受粉後に花粉管が伸長し胚珠を目指す際、花粉管との間での細胞接着が行われると考えられるが、その機能にNpGUT1が重要であることが予想された。そこで、未熟な雄蕊においてDEXによりNpGUT1の発現を抑制したところ、成熟した約75%の葯には正常な花粉が形成されなかった。花粉をDEX存在下において発芽させたところ、約75%が発芽せず、また発芽花粉にDEXを与えたときには、花粉管伸長が著しく阻害された。このことより、NpGUT1は花粉の形成・発芽、花粉管の伸長に重要な役割を果たしていると考えられる。また、未熟な雌蕊をDEX処理したところ、ほぼ全ての花柱において伝達組織に異常が生じ、不稔となった。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)