Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
心筋は有酸素能力が非常に高く,脂質代謝からのエネルギー供給が主要である。高血圧あるいは弁膜症などで生じる病的肥大心では脂肪酸代謝が低下することが知られている。一方,習慣的な運動により心臓は,機能的に優れているスポーツ心臓と呼ばれる形態的な肥大(生理的肥大心)が生じるが,エネルギー供給機構に関連する遺伝子レベルでの検討はなされていない。今回,病的肥大心とスポーツ肥大心で,エネルギー供給機構の主要酵素の遺伝子発現を検討した。病的肥大心モデルとして19週齢の自然発症高血圧ラット(SHR),スポーツ肥大心モデルとして15週間の水泳トレーニングしたWKYラット(運動群),対照群として安静飼育したWKYラットを用いた。SHRと運動群の心臓は,共に左室肥大を生じた。また,運動群は安静時徐脈を呈した。CD36(長鎖脂肪酸の細胞内取り込みに関与)mRNA発現は,SHRにおいて運動群及び対照群より低かった。長鎖脂肪酔代謝の主要酵素であるcarnitine palmitoyl transferase(CPT)-I, acyl CoA synthase isocitrate dehydrogenase mRNAへの発現は,SHRで運動群及び対照群より亢進していた。CPT-II mRNAの発現は,SHR及び運動群で対照群より亢進していた。糖及び乳酸代謝の主要酵素のphosphofructokinase mRNAとlactate dehydrogenase mRNAは,SHRで運動群及び対照群より高かった。高血圧による病的肥大心とスポーツ肥大心では,糖,乳酸,脂肪酸代謝経路の主要酵素の遺伝子発現様式が異なることが示された。すなわち,病的肥大心では無酸素的な,スポーツ心臓では有酸素的なエネルギー供給がそれぞれ亢進していることが示唆された。ゆえに,病的肥大心とスポーツ心臓とではエネルギー供給機構が異なるとが考えられる。
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