Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
今年度は、特に巨大惑星の形成過程に関わる研究を行ってきた。現在のところ、巨大惑星の形成シナリオとして、塵の合体成長で作られたコアが後から重い大気を纏うというコア集積モデルが一般に受け入れられている。しかし、私の2003年に著した論文によると、コア集積モデルによって巨大惑星形成に要する時間は、観測から見積もられる時間に比べて一般にかかりすぎる。その一方、多くの巨大惑星(130個以上)が太陽以外の星の周りに見つかっているという事実は、一見するとコア集積モデルを否定しているようにも思われる。そこで、私は他のシナリオによる巨大惑星形成のシナリオの可能性について探ることを、昨年度から今年度にかけて重点的に行ってきた。私が着目した他のシナリオはフランスのマルセイユ天文台にいるBarge博士らが1995年に提唱したシナリオである。そのシナリオでは、原始惑星円盤内で生じる高気圧の渦が、ガス抵抗により円盤内を浮遊している塵を集め、その集めた塵をコアとした巨大惑星が作られるというものである。そこで、Barge博士と共同研究を行うために、昨年度の5月から今年度の5月まで、フランスのマルセイユ天文台に滞在し共同研究を集中的に行ってきた。共同研究において、原始惑星円盤を構成している塵とガスのカップルした運動を解く数値計算コードを開発した。また、今年度は基本的なテスト計算を行い数値コードの正当性を示し、更に簡単な応用実験を行い塵とガスの相互作用がいかに重要であるかを示す結果を論文にまとめAstronomy & Astrophysicsの2月号に掲載した。まだ、Barge博士の提唱した巨大惑星形成シナリオについて議論できるまでの研究成果は出ていないが、近い将来には結果が得られることが期待される。
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All Journal Article (1 results) Publications (2 results)
Astronomy and Astrophysics 431
Pages: 365-365