英領南アフリカ連邦形成過程における帝国支配の重層構造と「ドミニオン的理念」
Project/Area Number |
02J06805
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2002 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | イギリス / 南アフリカ / 帝国 / 帝国主義 / 植民地主義 / ドミニオン / 近代史 / 現代史 / コロニアリズム / イギリス:南アフリカ / 帝国史 / 南アフリカ連邦 / アパルトヘイト / 原住民政策 / 隔離政策 |
Research Abstract |
1910年にイギリス帝国のドミニオン(自治領)として成立する南アフリカ連邦の形成過程においては、イギリス本国の政策担当者、植民地の主導権争いを展開したオランダ系白人アフリカーナーとイギリス系入植者、そしてこれら白人住民からさまざまなかたちで抑圧を受けたアフリカ人などの先住民らが、重層的な支配-被支配関係を結んでいった。そこでの社会的再編が現在の南アフリカ社会の基礎的構造をかたちづけたといってよいほど、20世紀初頭の連邦形成過程は、南アフリカの歴史においてきわめて大きな意味を持つものであった。その具体的な過程と帝国支配の重層構造を明らかにし、現在の南アフリカ共和国の原型といえる南アフリカ連邦形成の歴史的意義を考察することが、本研究の主たる目的である。 以上の研究目的にそって今年度に行なった研究から、論文のかたちでは四つの成果が得られた。 1.「ポストコロニアル批評・帝国史・アフリカ史」。本稿では、イギリス帝国史・アフリカ史研究の立場から、昨今注目を集めているポストコロニアル批評という研究領域をとりあげ、歴史学のディスシプリンを欠いた「歴史(的)叙述」のあり方、その流行を批判した。 2.「南アフリカ連邦の形成」。本稿では、南アフリカ戦争以後連邦形成までの政治史をまとめた。白人間の民族的確執よりも複雑な関係を含んだ南アフリカ社会の再編が、イギリス帝国という場に規定されるとともに、逆に帝国の進路にも影響を及ぼしていったことを明らかにした。 3.「『金のための戦争』だったのか?」。本稿では、南アフリカ戦争の原因をめぐる有力な説として今日もなお大きな影響力を持っているJ・A・ホブスンの「陰謀説」を、新しい研究成果をふまえて批判的に再検討し、南アフリカ戦争の原因をめぐる現在の研究水準を明らかにした。 4.「『植民地近代』を問う」。本稿では、本研究の課題を展望する題材として、昨今東アジア研究の側から提起されている「植民地近代」という概念に着目し、これがヨーロッパ中心主義を相対化する概念としてイギリス帝国史研究にいかに寄与し得るのかを検討した。
|
Report
(3 results)
Research Products
(14 results)