市民社会から「民族共同体」へ--ドイツ都市における社会政策実践1900-1930
Project/Area Number |
02J06840
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 英史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 歴史学 / ドイツ史 / 社会政策 / 都市史 / 名誉職 / 救貧 / ドイツ / 社会福祉 / 世紀転換期 / 地方自治 / ボランティア / 女性運動 |
Research Abstract |
研究最終年次である本年は、まず、19世紀半ばから後半にかけてのドイツ都市社会における公的救貧事業の展開をとりあげ、市民たちにとって名誉職による参加を通じて「公共の福利」の理念を実践する機会となっていたことを論証した。このような社会政策であるとともに公共哲学の実践形態としての性格を持っていた公的救貧事業が、19世紀後半以降自由主義市民層、社会改革運動、都市専門官僚らによっていかにイメージされ、形成されていったかを検討した。これについては現代史研究会第429回例会(2005年の2月26日、於共立女子大学)において「19世紀後半ドイツ都市社会における『公共の福利』と社会改革」と題して報告をおこなった。 また、これら公的救貧事業を補完する役割を担っていた民間の慈善協会の活動にも着目した。19世紀後半から世紀転換期にかけてのミュンヘンを事例としてとりあげ、とくに民間での協会活動を足がかりにそれまで男性市民によって独占されていた公的救貧事業への参加をめざした市民女性に注目して、その活動が世紀転換期以降公的救貧事業の性格を大きく変化させ、のちの社会国家への流れを準備することになった過程を分析した。この問題に関しては「生命の比較社会史」第4回研究会(2004年6月20日、於同志社大学)において「19世紀末ドイツ都市における女性救貧委員の採用と市民社会の規範」と題して報告をおこなった。 さらに、このような世紀転換期にはじまった都市における社会政策の再編を、その中心勢力となった都市専門官僚を軸に考察した。こうした官僚たちのなかから、ミュンヘン救貧局長グリーザーの事例をえらび、その思想展開を検証した。彼らの多くはその後第1次世界大戦を経てワイマール共和国の時代に至ってライヒ労働省に結集してワイマール社会国家の形成に重要な役割を果たし、さらに戦後西ドイツ社会における社会福祉政策の再編に関与していくことになる。この研究に関してはドイツ現代史学会第27回大会(2004年9月19日、於同志社大学京田辺キャンパス)において、「『社会都市』における市民参加--A・グリーザーとミュンヘン社会福祉行政の展開」と題して報告をおこなった。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)