Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
前年度までの研究から、アルカリ土類ヘキサボライドにおいて観測されている強磁性が磁性不純物によるものである可能性が示唆された。これは多結晶試料を酸(硝酸、塩酸)によりエッチングして行った磁化測定、並びに蛍光X線分析などの定性元素分析の結果からの推測であった。上記の点をより詳細に検討する為、Al-flux法により高純度の原料から育成されたA_<1-x>La_xB_6(A=Ca,Sr)単結晶試料を用いた磁化測定を行った。具体的には、多結晶試料の時と同様に、酸(硝酸)によるエッチング前後における磁化の比較を各々行った。その結果、エッチングにより磁化の常磁性成分が大きく減少し、非常に小さな強磁性モーメント(Youngらの1/10程度の大きさ)しか出ていないことが明らかになった。これは、試料表面がバルクとは異なった状態(常磁性)にあり、見かけ上大きなモーメントが出ているように見えていたということを示唆している。この結果は過去のESRの報告や光学反射率の報告とも矛盾を生じない。また、エッチングにより試料表面層を除去した、小さな強磁性モーメントしか出ていない試料に関しては、ICP発光分析法による元素分析行い、磁性不純物(Fe)の影響を定量的に評価した。その結果、エッチング後のA_<1-x>La_xB_6(A=Ca,Sr)で観測される強磁性モーメントは、試料に含有されているFe量で十分に説明が可能であることが明らかになった。初年度の結果から、キャリアドーピング量と強磁性モーメントの間に相関関係が無いことが確認されていることと併せて考えると、上記の結果は、強磁性が磁性不純物に起因していることを意味している。まとめると、本研究では、酸エッチングによる見かけの磁化成分の除去と試料の高純度化を進めることによって、アルカリ土類ヘキサボライドの高温強磁性が本質的な強磁性ではないことを明らかにすることが出来たといえる。
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