Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
ミクログリアは脳内でマクロファージ様機能を果たしており、ミクログリアの生理的ならびに病理的機能の発現においてプロテオリシスが重要な役割を果たしている。申請者は、ミクログリアの病理的役割において、プロテアーゼ特にアスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンE(CE)という観点より細胞生物学的、組織学的、行動学的に解明する。これまでの研究成果により、ミクログリアの抗原提示において、CEは抗原ペプチドの生成に重要な役割を果たしていることが示唆された。またカテプシンE欠損マウスをコンベンショナルな条件化で飼育することによりアトピー性皮膚炎と酷似した所見がみられたため、CEの欠損により免疫応答の変化がおきている可能性があると考え、今年度はまずCE欠損マウスと野生型のミクログリアの産生するサイトカインの相違について検討した。CE欠損マウスのミクログリアにおいてTNF-αの産生量が増大傾向にあり、脳内においてもCE欠損により免疫ならびに炎症反応の亢進がおきている可能性が示唆された。そこで現在、カテプシンE欠損ならびに野生型マウスを使用し、多発性脳硬化症や顔面神経切断に伴ってその周囲に集積してくるミクログリアの性状について検討中である。つぎにCE欠損マウスの行動学的な解析を行ったところ、CE欠損マウスは隔離飼育というストレス環境下で飼育を行うことにより、闘争行動が野生型に比べ亢進するという行動異常が観察された。さらに生化学的ならびに組織学的な解析によりCE欠損マウスの脳内においてサブスタンスPの蓄積が観察された。そこで現在、このサブスタンスPの蓄積におけるミクログリアの関与について細胞生物学的に検討中である。以上の研究成果より最終的にミクログリアにおけるCEの役割を解明し、脳内免疫反応に伴う炎症反応を抑制する治療方法の開発について検討を行う。
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