Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
植物-環境系における水および元素などの物質動態は,気孔反応,植物体内の通水抵抗とその分布,根の物質吸収機能などの植物の水力学的特性に支配されるために,これらの定量的な把握は,植物による水質や土壌浄化などの環境緩和技術および養水分の抵投入低排出栽培などの環境保全技術の確立に重要な知見を与える.そこで,平成14年度から葉の気孔反応特性,植物体内の通水特性,根の物質吸収特性を評価するためのシステムと方法を新規に構築し,植物の水力学的特性の環境反応を調査してきた. 本年度は,これまでに開発した葉チャンバを用いて,空気湿度と気流に依存する蒸散要求度に対する気孔反応を調べた.チャンバ内の異なる湿度と風速の組合せに基づく蒸散要求度条件下において葉のガス交換を計測すると,空気湿度と気流に依存する蒸散要求度が気孔反応に及ぼす影響は異なり,そのメカニズムは葉に接する気相の湿度に直接影響される孔辺細胞と表皮細胞の膨圧の拮抗関係と,気孔の周辺細胞の水収支を通した蒸散要求度の影響度と密接に関係することが示された. また,気孔開度を減少させる植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)を利用し,フィールドでの蒸散速度の評価法を新たに提案した,この評価法では,ABA処理した植物と処理していない植物における熱収支から植物の蒸散速度が推定される.植物個葉と個体を対象にした予備実験においては,蒸散速度の実測値と推定値がほぼ一致した.さらに,評価法を野外のトウモロコシ畑に適用した結果,日射量,湿度,風速などの環境要素の変動を反映した蒸散速度の日変化が評価可能であった. 以上,植物の個葉,個体,個体群を対象にした葉,茎,根の水力学的特性の評価法を新規構築し,植物の水力学的特性の環境反応とその機作のいくつかが解明された.これらの知見は,植物機能を積極的に利用した環境緩和技術や環境保全技術の確立に貢献し得ると考える.
|