YbXCu_4系の多様な強相関物性の制御機構のX置換による系統的研究
Project/Area Number |
02J09455
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小山 岳秀 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 強相関電子系 / 価数揺動 / 圧力 / 希土類化合物 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
本研究の対象であるYbXCu_4化合物はX元素置換によってKondo温度を系統的に変えることができ、Yb元素を構成元素としてもつ強相関f電子系化合物の研究に適した系である。なかでもYbInCu_4は高温でYbイオンが局在スピン状態(高温相)をとるのに対し、42Kでの一次の価数転移を起こし、それ以下の温度では非磁性状態(低温相)とる。この転移は0.5%の体積膨張をともなうため、圧力を印加し体積膨張を抑制することによって転移温度が下がり高温相が安定化することが知られていた。昨年度、圧力によって安定化された高温磁気相の基底状態を実験的に探る目的で、3GPaまでの圧力下での電気抵抗および交流帯磁率の同時測定用圧力セルを開発し、高圧下での電気抵抗、交流帯磁率の測定を行った結果、転移は2.49GPa以上の圧力で消失し、2.3K以下の温度で強磁性秩序することを見出した。 そこで今年度、価数転移と磁気転移の関係、さらに、圧力がf電子に与える効果を明らかにするために、YbInCu_4単結晶試料中の^<63>Cuの核四重極共鳴(NQR)測定を行い、2.5GPaまでの圧力下で電気四重極共鳴周波数および核スピン格子緩和率の圧力依存性の測定を行った。その結果、微視的にも2.5GPa以上の圧力では価数転移は完全に消失すること、そして、圧力安定化高温相での磁気転移の確証を得た。さらに、4f電子は近藤効果による重い電子系への移行を示さず、磁気転移温度まで依然として局在状態を保ったまま磁気秩序することを明らかにした。つまり、YbInCu_4の価数転移は4f電子のとる状態が局在状態から遍歴状態へ変化する転移であることを明確にした。圧力が2.3GPaでの実験では2.3K以下で低温相と磁気秩序状態の共存を観測し、また、低温相と磁気秩序相の境界は一次転移であることを示した。(Physical Review Letterに投稿済み)
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)