Project/Area Number |
02J10266
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 宇史 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 酸化物高温超電導体 / 角度分解光電子分光 |
Research Abstract |
東北大学において、新型超高分解能角度分解光電子分光装置の建設を行った。具体的には、極低温化のために、2重の極低温ラディエーションシールドの設計・取り付けを行った。また、エネルギー分解能向上のために、ミューメタルシールド試料槽の設計・取り付けを行い、低磁場下での測定を実現した。さらに、電源系・測定系の改良の結果、気体Xeの測定において、1.5meVという超高分解能を達成した。超高分解能光電子分光装置、及び米国ウィスコンシン州放射光施設を用いて、単位格子中に含まれるCuO_2面の数(n)を1から3まで系統的に変化させてホールドープ型Bi系高温超伝導体の角度分解光電子分光を行った。その結果、n=2,3の両物質において、超伝導状態で、フェルミ準位近傍における強い多体相互作用の存在を示すバンド分散の折れ曲がり構造(kink構造)を観測することに成功した。また、このkink構造は、超伝導転移温度以上では消失し、かつブリルアンゾーン中の(π,0)点近傍の波数領域で強く観測されることが分かった。さらに、このようなkinkの波数・温度依存性は、n=1のBi系高温超伝導体では観測されないことを見出した。これらの事から、ホール型高温超伝導体における準粒子の形成には、Q=(π,π)の波数をもつ磁気的共鳴モードが強く影響していると結論した。また、電子ドープ型Nd系高温超伝導体の角度分解光電子分光を行い、ホール型と同様、kinkの強い波数依存性と温度変化を観測した。以上の実験事実から、高温超伝導機構には磁気的相互作用が密接に関係していると結論した。
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