Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Research Abstract |
病原ウイルスに対する親和性の高いタンパク質(ウイルス吸着タンパク質:Virus-Binding Protein,VBP)を活性汚泥中から分離し,このVBPを用いた下水処理水からの病原ウイルス除去技術を開発することが本研究の目的である.平成14年度において,活性汚泥からポリオウイルス1型に対する親和性を有するVBPを分離し,さらに活性汚泥細菌からのVBP遺伝子の分離、およびVBPクローニングを行うことに成功した.本年度は,得られたVBPクローンの担体表面上への固定化及びVBPを用いたウイルス除去装置の構築を試み,以下に述べる成果を得た. まず,大腸菌を用いたVBPクローニングにより大量に得られたVBPを,担体として用いるガラスビーズ表面上に固定化することを試みた.その際には,まずガラスビーズ表面をアミノシランで修飾し,さらにグルタルアルデヒドを導入した.それに続いてVBPを導入することで,VBP間の架橋を最小限に抑えつつ,ガラスビーズ表面からVBPまでを共有結合により強く結合させた.本手法を用いることにより,VBPが確かにガラスビーズ表面上に固定化されていることをELISA法により確認した. 次に,固定化されたVBPを用いたポリオウイルス1型(PV1)吸着実験を行った.2mlチューブにVBP固定化ガラスビーズ1gを投入し,そこへPV1懸濁液1mlを添加した.1時間撹拌後,静置した上清をサンプリングし,上清に残ったPV1を定量した.その結果,投入PV1のうち95%がガラスビーズ表面上のVBPによって吸着除去されたことが確認された. さらに,ガラス粒子表面上におけるVBPの配向固定化を実現するため,VBPのC末端にポリリジンタグを導入したLysTag-VBPの合成を試みた.ポリリジンタグ導入用のプライマーを設計し,PCR反応によりLysTag-VBP遺伝子を創出した.このLysTag-VBP遺伝子を組み込んだプラスミドpRSETを大腸菌に導入して培養したところ,LysTag-VBPを効率的に合成することに成功した.上述の固定化手法を用いてガラスビーズ表面上にLysTag-VBPを固定化し,固定化されたLysTag-VBPを用いてPV1吸着実験を行ったところ,固定化LysTag-VBPとPV1型間の結合が親和性の高いものであることが確認された. 以上の結果より,VRPを利用した水中病原ウイルス除去技術の開発に成功し、本研究の目的がすべて達成されたと言える.
|