Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,長寿命型FRP建設構造部材接合部の破壊性状や力学特性の解明および光ファイバセンシングによる損傷評価法の確立を目的とし,(1)帯板要素の引張載荷実験,(2)円孔母材の引張載荷実験,(3)継手接合部の引張載荷実験を行った。試験体には,ガラス繊維を用いた引抜成形FRP箱型断面形材(100×100×5.5mm)から部材軸方向に帯板に切り出したものを用いている。光ファイバセンサとしては,現状で最も精度が良好なFBG(fiber Bragg grating)センサを採用した。FBGセンサは,厚さ5.5mmのFRP材の表面に深さ約0.5mmのV字型の溝を設け,その溝にFRP母材のマトリクスと力学性状が類似の2液系エポキシ接着剤を充填し埋め込んでいる。計測システムには,従来の歪量を得るための波長測定に加え,材料内部の損傷をモニタリングするために波形測定も行った。帯板要素の引張載荷実験では,負荷・除荷を繰り返しながら25kNづつ増加させ破壊に至るまで載荷を行った。結果として,波長測定から,FRP材が破壊に到るまでの歪レベルまでは十分に測定可能であり,その出力値と従来の歪ゲージとの値の差は最大でも10%程度であり,非常に精度良く測定できることを明らかにした。波形測定より,光パワースペクトル形状を連続的に計測した結果,トランスバースクラックに関係した内部損傷によると考えられる歪の不均一性が顕著になることによって,単一ピークのスペクトル形状から,複数ピークのそれに大きく変化する現象があることを発見し,そうしたスペクトル形状の変化をモニタリングすることで内部損傷の進展を評価できることを明らかにした。継手接合部の終局強度の推定に必要となる円孔母材の引張載荷実験では,欠損断面積を一定とし円孔径の大きさをパラメータとした場合,円孔径が大きくなるに従って母材終局強度は低下する傾向にあることを示した。FRPボルト接合における摩擦の効果を明らかにするために,ボルト径及びボルトの締付けトルクを実験変数とし重ね継手接合部の引張載荷実験を行った。結果として,ボルト径と板厚の比d/tが1.1,1.8の場合には,ボルト張力の増加に伴い,最大耐力および接合部剛性は上昇するが,d/tが2.5では,接合部剛性は上昇するものの,最大耐力はボルト張力が増加してもほとんど上昇しないことを明らかとした。更に,母材に埋込んだFBGセンサの出力結果より,ボルト張力を導入することで,母材に摩擦力が働き,ボルト孔周りの極めて局所的な損傷を抑制することで,母材全体での損傷の蓄積によって破壊に至ることを明らかとした。
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