プリオン病における異常型プリオン蛋白質の蓄積および細胞機能障害に関する研究
Project/Area Number |
02J20203
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
神経化学・神経薬理学
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中村 優子 国立感染症研究所, 細胞化学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | プリオン病 / プロテオーム / ラフト |
Research Abstract |
本年度(平成15年度、研究実施期間:平成15年4月-9月)はプリオン病発症過程におけるマウス脳のタンパク質組成の変動をプロテオーム解析を用いて検討した[方法]病原体を接種したマウス脳を経時的(投与後32日、70日、116日、152日、PrPscの蓄積は116日以降に認められた)に摘出し、抽出液(可溶性画分)、膜(ミクロソーム)画分及びその1% Triton X-100不溶性画分(raft)を調製し、プロテオーム解析を行った。試料は2次元電気泳動またはSDS-PAGE後、量的変動を解析した。[結果]可溶性画分の解析ではCBB染色で検出される約250個のスポットのうち約85%には量的な変動は認められなかった。変動が認められた30個のスポットのうち、分子量46kD、pI5のスポットはPrP^<sc>の増加に伴い顕著な増加が観察された。このタンパク質はPMF法によりアストロサイトのマーカーであるGlial fibrillary acidic protein(GFAP)と同定された。このPrP^<sc>の増加にともなうGFAPの増加は、プリオン病において神経細胞の脱落とそれ同定された。vATPaseは細胞内の分泌顆粒、エンドソームやリソソーム等の内腔を酸性に保つために必須のプロトンポンプで、多数のサブユニットから構成されいてる。Aサブユニットは膜表在性のサブコンプレックス(V1、触媒ドメイン)の構成成分であり、その構成成分であるE、Gサブユニットでも発現量の減少が認められたが、興味深いことに膜内在性のサブコンプレックス(VO、H^+輸送ドメイン)の構成成分であるaサブユニットにはそのような量的な変化は認められず、全期間を通じて一定量が存在していた。PrP^<sc>は細胞表面のraftで変換された後、エンドソームやリソソームに蓄積されると考えられているが、以上の結果からvATPase V1サブコンプレックスの減少によりもたらされると推定されるvATPase活性の低下が、各種の小胞に存在するプロテアーゼ類の活生低下をもたらし、その結果、PrP^<sc>が細胞から排除されず蓄積される原因となっている可能性があると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)